金融庁は、先日、正常運転資金の額を超える短期継続融資について、

必ずしも不良債権ではないとの見解を示しました。

経常的に運転資金が必要な企業様にとっては、歓迎すべき兆候です。

正常な運転資金とは、事業を継続するうえで常に必要となる資金を言います。

売上金の回収サイトが仕入の支払いサイトより長い場合、

仕入れ代金を先に決済する必要がありますが、この決済資金は、

仮に借入で用立てても、後に売掛金を回収すれば確実に返済できます。

これが正常な運転資金です。

また、短期継続融資とは、期日一括返済の短期融資を言います。

期日一括返済という条件ですが、正常な運転資金は、

事業を継続する限り常時必要な資金ですので、返してもすぐに借りなくてはなりません。

よって実務上は期日到来時に返済期限を延長します。

実質的に返済をしない借入です。

短期継続融資は、十数年前まではよく見られた融資形態ですが、

近年ではあまり見かけません。

理由は、残高管理の難しさにあります。

短期継続融資は、正常な運転資金を融通する融資ですので、

本来は運転資金の増減に伴い融資額も増減させなくてはなりません。

しかし、借り手である中小企業は、運転資金の推移を適切にディスクローズできない傾向があり、

金融機関が運転資金の増減をタイムリーに追いきれないため、融資残高が硬直化し、

結果的に回収できなくなる危険性があるからです。

よって近年では、短期継続融資を避け、毎月返済が必要な長期の融資で

運転資金を融通することが主流になっています。

しかし、借り手にとっては運転資金を長期の借入で調達するのは少し問題があります。

運転資金は常時必要な資金ですので、約定返済がついていては資金繰りが安定しません。

従って、長期借入で運転資金を調達するならば、本来必要な運転資金の額より、

多めに融資を受けなくてはなりません。

また、長期借入の返済原資は「利益」ですので、運転資金の借入であっても、

利益が出ていない企業は融資を受けることが難しいという大きなデメリットもあります。

もちろん、短期継続融資にもデメリットはあります。

返済期限が半年から1年と短期で設定されるため、万が一貸し手が期日に延長を渋った場合、

たちまち資金繰りが悪化するというリスクです。

しかし、資金需要が旺盛な成長企業にとっては、約定返済がないという

メリットの方が大きいはずです。

また、短期継続融資の返済原資は売掛金の回収金ですので、理屈として、

利益は出ていなくても、売上がしっかりと上がっていれば融資を受けられます。

短期継続融資への取り組みは、今のところ金融機関によって温度差があるようですが、

スムーズに短期継続融資を受けるためには、借り手である企業側が、

返済の根拠となる売掛金や在庫の推移をタイムリーにディスクローズする姿勢が大切です。

成長途中にある企業様は、約定返済のない短期継続融資を活用することで

資金繰りが安定します。

是非、ご相談ください。

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