本日は基本に立ち返って、中小企業が銀行と向き合う際に陥り
がちな誤りについて整理したいと思います。
銀行対応の重要性は多くの経営者が理解されていますが、あら
ためて振り返ってみると、日常のちょっとした行動が信用を左
右していることに気づく場面が少なくありません。
資金繰りや調達が厳しくなる時期ほど、銀行との距離感が経営
に大きな影響を与えます。今日はあらためて、その基本を押さ
えておきましょう。
1.調子の良いときほど距離を置いてしまう
業績が順調なときは、銀行への説明を後回しにしてしまいがち
です。しかし銀行が評価しているのは、困ったときに何をした
かよりも、順調なときにどれだけ情報を出していたかという点
です。決算書や月次試算表をきちんと共有し、定期的に現状を
伝えておくことで、銀行との関係は安定していきます。
2.自社の要望ばかりを語る
融資を増やしたい、金利を下げたい、手続きを簡単にしてほし
い。こうした要望を伝えること自体は悪くありませんが、その
前に必要なのは背景の説明です。なぜ資金が必要なのか、返済
はどのように計画しているのか、事業が今どの位置にあるのか。
貸す側が安心できる材料を提示することが、結果として希望に
近い条件を引き出す道です。
銀行の判断は感情ではなく制度と論理で動きます。
強い言葉を使っても状況は変わらず、評価を落とす原因にもな
ります。
3.数字を隠す、報告を遅らせる
決算が悪いと報告を先延ばしにする会社があります。しかし銀
行は業績の良し悪しよりも、経営者が数字とどう向き合ってい
るかを見ています。悪い数字を隠しても信頼は得られません。
早めに状況を伝え、改善の方向性や今後の計画を説明する姿勢
こそが、強い信用につながります。
■ まとめ
銀行対応で大切なのは、うまく話すことではなく、正しく伝え
ることです。
普段から
・良いときこそ情報を共有する
・要望の前に背景を説明する
・数字を隠さず早めに開示する
この3つを続けるだけで、銀行の見方は大きく変わります。銀
行は企業の味方にもなれば、距離が生まれると融資に慎重にな
ります。日々の対応が、将来の資金調達力そのものをつくって
いくということを、あらためて意識してみてください。
