中小企業経営者にとって経営者保証は大きな問題です。経営す
る企業が経営不振に陥った場合、その経営者は個人資産を切り
崩して会社の借入金を返済する必要があります。老後の生活資
金やマイホームなどの個人資産が失われるリスクがあるだけで
なく、個人資産で会社の借入金をカバーできなければ自己破産
に追い込まれてしまいます。

このような問題点を踏まえ、政府は「経営者保証に依存しない
融資慣行」の確立を目指しています。その一環として、2024年
3月から「事業者選択型経営者保証非提供制度」が創設されまし
た。

事業者選択型経営者保証非提供制度は、中小企業が経営者保証
を提供せずに信用保証協会の保証付き融資を受けられるように
するものです。主なポイントは以下の通りです。

■ 対象要件
・過去2年間において決算書等を申込金融機関の求めに応じて
提出している。
・直近の決算において代表者への貸付金等がなく、かつ、代表
者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる
額を超えていない。
・直近の決算において債務超過でない、又は直近2期の決算に
おいて減価償却前経常利益が連続して赤字でない。
・要件を継続的に充足することを誓約する書面を提出している。
・中小企業者が、保証料率の上乗せにより保証人の保証を提供
しないことを希望している。

■ 保証料の上乗せ
・財務状況に応じて、通常の保証料に0.25%または0.45%が
上乗せされます。

■ 国による補助
・制度の活用を一気に加速していくため、当初3年間(2027年
3月末まで)の時限措置として、上乗せされる保証料率の一部
を国が補助する信用保証制度が用意されています。同制度では、
2025年3月末までの申込は上乗せ分の0.15%、2026年3月末ま
では0.10%、2027年3月末までは0.05%が補助されます。

■ その他条件
・保証限度額、対象資金、保証期間は各制度の規定に準じます。
・連帯保証人は不要ですが、担保は必要に応じて提供すること
があります。

この制度により、一定の財務要件を満たす中小企業は、経営者
個人の保証リスクを軽減しつつ、資金調達が可能となります。
保証料の上乗せはありますが、経営不振に陥った時に個人が抱
えるリスクを考えると積極的に検討したい制度です。

経営者保証を外し、借入を活用したダイナミックな経営にチャ
レンジしてみてはいかがでしょうか。

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