経営者の皆様は、日々「売上を上げなければ」「利益を出さな
ければ」と考えているのではないでしょうか。これは「PL脳」
と呼ばれる思考パターンです。PLとは損益計算書のことで、
売上や利益を示す大切な財務諸表です。しかし、PLだけにと
らわれすぎると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。
■ PL脳の問題点
PL脳の最大の問題は、短期的な視点に陥りやすいことです。
1.売上至上主義:無理な値引きで売上を伸ばそうとし、利益
率が下がる
2.コスト削減偏重:将来への投資(研究開発や人材育成)を
削り、長期的な競争力が低下する
3.借入を避ける:「無借金経営」にこだわり、成長のチャン
スを逃す
これらは一時的にPLを良く見せますが、長期的には企業価値
を損なう可能性があります。
■ PL脳からの脱却
では、どうすればPL脳から抜け出せるでしょうか?
1.長期的視点を持つ:5年後、10年後の自社の姿を描き、
そこに向かって計画を立てましょう。
2.キャッシュフローを重視する:利益は会計上の数字ですが、
キャッシュは実際のお金の動きです。キャッシュフロー計算書
を定期的にチェックしましょう。
3.投資を恐れない:新しい設備や技術、人材への投資は短期
的にはコストになりますが、長期的な成長には不可欠です。
4.バランスシート(BS)も見る:PLだけでなく、BSも
確認しましょう。資産や負債の状況を把握することで、より総
合的な経営判断ができます。
5.非財務指標も重視する:顧客満足度や従業員のモチベーシ
ョンなど、数字に表れない要素も企業の価値を左右します。
■ 金融機関の理解を得るために
PL脳から脱却しようとすると、一時的にPLが悪化する可能
性があります。そのとき、金融機関の理解を得るのが難しいと
感じるかもしれません。しかし、多くの金融機関も企業の長期
的な成長を支援したいと考えていますので、以下のポイントを
押さえて、金融機関とコミュニケーションを取りましょう。
1.事業計画を明確に:なぜその投資が必要か、どのような成
果を期待しているかを具体的に説明しましょう。
2.定期的な報告:計画の進捗状況を定期的に報告し、信頼関
係を築きましょう。
3.キャッシュフロー重視:PLだけでなく、キャッシュフロ
ーの見通しも示しましょう。
4.業界動向の共有:自社の取り組みが業界トレンドに沿って
いることを説明しましょう。
PL脳から脱却し、長期的な視点で経営することは、決して難
しいことではありません。日々の小さな意識の変化から始めて
はいかがでしょうか。そうすることで、自社の真の価値を高め、
持続的な成長への道を切り開くことができると思います。