資金調達のご相談を受けていると、「もっと早くご相談いただ
けていれば、状況は違っていたのに」と感じることが少なくあ
りません。資金繰りの問題は、ほとんどの場合“突発的な出来事”
ではなく、“備えの欠如”から始まります。今回は、財務を後回
しにしたことでチャンスを逃した企業の例をもとに、先手の財
務の重要性を考えてみます。

■ 「今は大丈夫」が一番危ない
業績が安定しているときほど、資金調達への関心が薄れがちで
す。ある企業では、過去に銀行から融資を勧められた際、「必
要ない」と断っていました。その後、取引先の不調で売上が急
減。急いで融資を申し込むも、銀行の回答は「今回は見送り」。
結果的に、手元資金が尽きるまでのわずかな期間で経営が傾き
ました。
中小企業にとっては、「借りられるときに借りておく」ことが
最大のリスクヘッジです。資金の余裕が経営の自由度を生みま
す。

■ 黒字なのに資金が回らないワナ
売上が伸びているのに資金繰りが厳しくなる。これは珍しい話
ではありません。仕入や人件費の支払いが先行し、入金が後に
なる構造が原因です。特に成長期の企業ほどキャッシュアウト
が増え、手元資金が追いつかなくなります。忙しいときほど
「資金繰り表の更新」を怠りがちですが、1か月先、3か月先
の資金残高を見通すだけでも経営判断は変わります。

■ 「返済は早ければ良い」ではない
借入金を早く返すことが美徳とされる傾向がありますが、返済
を急ぐあまり運転資金が枯渇してしまう例も少なくありません。
返済のスピードは経営体力に合わせて設計するものです。手元
資金を厚く保ち、いざという時の選択肢を確保することこそが、
健全な財務管理です。

■ 財務は“結果”ではなく“戦略”
財務とは、決算の数字をまとめる作業ではなく、経営そのもの
を支える戦略的活動です。資金調達・資金繰り・返済設計のど
れをとっても、後手に回れば回るほど選択肢は減っていきます。
問題が起きてからの財務対応は“守り”であり、事前の準備こそ
が“攻め”の経営につながります。

「財務は起きてから考えるものではなく、起きる前に仕組みを
つくるもの。」
この視点を経営に根付かせるだけで、企業の安定感は確実に高
まります。

財務体制を整えたい経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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