2025年の日本は、少子高齢化・人口減少・デジタル化の進行、
そして価値観の多様化といった大きな変化の中にあります。こ
うした時代には、「社会の課題をビジネスで解決する」ことこ
そが、事業成功の鍵となります。これから新規事業を始めるな
ら、次の4つの分野が成長性・実現性ともに高く、特に中小企
業や個人事業者にも適しています。
■1.高齢化社会対応型サービス
高齢化が進む日本において、介護や医療だけでなく、その“周
辺サービス”にビジネスチャンスがあります。中でも、現場に
寄り添った小規模サービスは参入障壁が低く、地域密着で展開
できます。
●事例:シニア向け「おでかけ支援サービス」
神奈川県で創業した個人事業主が始めた「まごころ送迎サービ
ス」は、高齢者を病院・スーパー・趣味の教室などに送迎する
有償サービスです。介護タクシーではないため資格不要で始め
られ、口コミで顧客が広がりました。今では月に200件超の利
用があります。
その他にも、配食サービス、買い物代行、訪問美容・ネイルな
ど、日常支援系サービスが高齢者層に広がっています。
■2.地域密着型DX支援(中小企業デジタル化)
中小企業や個人商店の多くは、「デジタル化したいけど、やり
方がわからない」と感じています。特に地方では、IT企業と
の接点が少ないため、身近な支援者が求められています。
●事例:飲食店向け予約管理ツールの導入支援
広島県の30代創業者が立ち上げた「ミセデジ」は、個人飲食
店にLINE予約システムや無料POSレジを導入し、集客と業務
効率化をサポートしています。導入費用を補助金で賄うことで、
顧客負担を抑えながら自社の利益も確保しています。
このように、「難しいITを、わかりやすく手伝う」姿勢が重
宝され、継続的な支援契約にもつながっています。
■3.生成AIを活用した業務支援
ChatGPTなどの生成AI技術は、日常業務やマーケティングの
現場で急速に普及しつつありますが、実際の活用は一部に留ま
っています。この“活用の壁”を超えるサポートが、今後大きな
市場になります。
●事例:中小企業向け「AI活用コンサルティング」
大阪のベンチャー企業「ライトAI」は、製造業の現場向けに、
ChatGPTを活用した「クレーム対応メール」「マニュアル作成」
「営業トーク例」などを自動化する仕組みを提供しています。
定額サブスク型で月額3万円から導入可能にしたところ、IT
に疎い企業からの引き合いが急増しました。
小規模事業者向けにAIの“使い方”と“効果の見える化”を支援
することが、今後の収益源となります。
■4.教育・リスキリング(大人の学び直し)
人生100年時代、働き方が多様化する中で、「学び直し」や
「スキル転換」を支援するビジネスが伸びています。かつての
塾や資格スクールとは異なり、短期・実務直結型の学びが求め
られています。
●事例:40代向けのIT再教育スクール
東京・中野で始まった「リスキルラボ」は、40代、50代の
未経験者を対象に、週1回・3ヶ月間でWeb制作や動画編集を
学ぶ少人数制の教室です。講師は現役フリーランスで、実案件
を題材にした授業が特徴です。転職希望者だけでなく、副業を
目指す会社員も参加し、口コミで拡大中です。
中高年層の不安を解消し、「自分で稼ぐ力を身につけたい」と
いうニーズに応える教育事業は今後も広がるでしょう。
時代の変化は、不安と同時に“ビジネスの種”をもたらします。
高齢化、デジタル化、AI活用、学び直し、これらはすべて
「社会課題」であり、だからこそ「強いニーズ」が生まれます。
これから新規事業を立ち上げるなら、巨大市場や一過性のブー
ムよりも、“小さな困りごと”に焦点を当てたサービスが、持続
的な成長の鍵を握ります。自分自身の経験や地域資源と結びつ
けながら、社会の隙間を埋める事業をぜひ検討してください。