中小企業の経営者にとって、後継者育成は非常に重要な課題で
す。特に、親から子へ、あるいは社員から後継者を選ぶ場合、
どのようにして“経営者の器”を育てるかに悩む方も多いのでは
ないでしょうか。
そのような方にぜひお伝えしたいのが、「後継者には、自分で
小さな事業を立ち上げさせ、実際に経営させることが最も効果
的である」という考え方です。なぜなら、経営というのは、理
屈ではなく“実践”の中でしか身につかないからです。
■後継者教育に「小さな事業を任せる」理由
1.背中を見せるだけでは限界がある
経営の本質は、実務と責任の中でしか学べません。理論や観察
では身につかない“判断力”や“責任感”が必要です。
2.実際に事業を立ち上げさせる
小規模の社内ベンチャーやプロジェクトを一任することで、市
場調査から資金管理、採用、販売まで一貫して経験できます。
3.“経営のリアル”を体験できる
数字のプレッシャー、人材管理、取引先との交渉など、日々の
判断に責任を持つことで“本物の経営感覚”が養われます。
4.失敗からこそ学びがある
小さな事業なら失敗しても会社への影響は限定的。むしろ、失
敗から立ち直る力こそが、後継者の本当の成長を促します。
5.親(経営者)は伴走者に徹する
答えを与えるのではなく、考えるヒントを与えることで、自立
心と創造性を育てます。
6.将来の引き継ぎがスムーズに
実務を通して力をつけた後継者なら、自信と覚悟を持って事業
を受け継げます。
ある企業では、若手の後継者候補にECサイト運営や新規サー
ビス立ち上げといった小さな事業を任せた結果、数字への感覚
や部下のマネジメント力が飛躍的に高まりました。その後、本
業にも参画させたときには、周囲も納得するリーダーとして自
然に受け入れられたそうです。
■まとめ
経営は教科書だけでは学べません。だからこそ、「任せて失敗
させる」「責任を持たせて育てる」このシンプルな原則が、も
っとも効果的な後継者教育となるはずです。
あなたの会社の未来を真剣に考えるなら、守られた環境の中で
こそ思い切った経験をさせるべきです。そして、自分の手で数
字を作り、人を動かす経験を通して、本物の経営者としての
「覚悟」と「責任感」を身につけさせてください。