建設業を営むA社長からの相談です。「融資を申し込んだとこ
ろ、工事台帳の提出を求められた。作成したことがないので手
伝って欲しい。」という内容でした。この相談は、多くの建設
業経営者が直面する課題を反映しています。

■ 金融機関から見た建設業の特殊性
金融機関から見て、建設業の決算書には実態を把握しづらい要
素がいくつかあります。特に注目すべきは、建設業独特の勘定
科目である完成工事未収入金や未成工事支出金です。

建設業は1工事あたりの金額が大きく、毎月の売上も変動する
ため、これらの科目も大きく変動します。残念ながら、その特
性を利用して粉飾決算をする企業もあるため、金融機関は融資
に慎重になります。

■ 工事台帳の重要性
金融機関の不安を払拭するのに有効な資料が工事台帳です。金
融機関が工事台帳から読み取りたい主な内容は以下の通りです。

1)工事ごとの利益状況:各工事の利益率と決算書の利益率が
大きく乖離していないことを示すことで、決算書の正確性を証
明できます。

2)工事のスケジュール:将来にわたって、工事がどのように
進行し、どのタイミングで売上が立つかを示すことで、今後の
業績の見通しを理解してもらえます。

■ 工事台帳の具体例
工事台帳は以下のような形式で作成します。

工事名:○○ビル建設工事
発注者:△△株式会社
工事期間:2025/4/1 ~ 2026/3/31
契約金額:100,000,000円
実行予算:80,000,000円
進捗率:30%
売上高(累計):30,000,000円
原価(累計):24,000,000円
粗利益(累計):6,000,000円

■ 資金繰り表の重要性
工事台帳に加えて、資金繰り表も提出すると効果が高まります。
建設業は決算書の損益とキャッシュの動きに乖離があるため、
全体のお金の流れを示すことが重要です。

■ 建設業の融資申し込みのポイント(まとめ)
1)建設業は決算書の提出だけでは不十分です。
2)工事台帳で工事ごとの利益率を示し、決算書の正確性を補
足しましょう。
3)工事スケジュールを示し、現在の受注残と今後の売上見込
みを説明しましょう。
4)資金繰り表を作成し全体のお金の流れを説明しましょう。
5)設備資金の場合は、さらに詳細な事業計画書が必要になり
ます。

融資申込資料は単に作成すればよいということではありません。
金融機関の意図をくみ取った資料を作成することが、融資を受
けられる確率を高めるカギとなります。

融資申込資料の作成でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談く
ださい。弊所にて専門家がわかりやすく丁寧にサポートいたし
ます。

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