2018年1月、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイド
ライン」を作成し「モデル就業規則」上で、それまで記載して
いた「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規
定を削除しました。そして、新たに「第67条に労働者は、勤務
時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」
という、副業を認める条文を追記しました。上記から6年が経
過しましたが、副業が緩やかに浸透してきたように感じます。
副業を認めることには、雇用者側にとって多くのメリットとい
くつかのリスクが存在します。長短を勘案して副業について検
討してください。
以下にメリットとリスクについてそれぞれの要点をまとめます。
■1.雇用者側のメリット
1.スキルの向上
従業員が副業を通じて新たなスキルや経験を身につけることが
でき、その知識を本業にも活用できます。
2.従業員の満足度向上
副業を通じてキャリアの選択肢と収入を増やすことができるた
め、従業員の満足度が向上し、結果的に離職率が低下します。
3.新しいアイデアの導入
異なる業界や環境での経験を持つ従業員から新しいアイデアや
視点がもたらされ、組織内の革新を促進します。
4.競争力の強化
副業を認めることで、企業は柔軟性を持って働ける魅力的な職
場と見なされ、優秀な人材の獲得や維持が容易になります。
5.組織のリスク分散
従業員が副業によって収入源を分散している場合、組織全体と
しての経済的リスクが軽減されることがあります。
■2.雇用者側のリスク
1.業務への集中力低下
従業員が副業に時間を割くことで、本業の生産性や集中力が低
下する可能性があります。
2.機密情報の漏えい
副業先が競合企業である場合、重要な情報が漏れるリスクがあ
ります。
3.法的・規制の問題
労働時間規制の違反や労働者の健康問題が起こる可能性があり、
企業が法的責任を問われることがあります。
4.内部の不公平感
副業をしていない従業員との間で不公平感が生じることがあり、
職場の士気やチームワークに影響を与える可能性があります。
5.タレントの流出
従業員が副業でより良い機会を見つけた場合、企業を離れる可
能性があります。
副業を認める際には、これらのメリットを最大化し、リスクを
最小限に抑えるために、明確なガイドラインと適切な管理体制
が必要です。副業に関するポリシーを設定し、従業員に対する
教育とサポートを行うことで、副業がもたらす利点を活かし、
潜在的な問題を予防することが必要です。
近い将来、副業を容認するように立法化されるのではないでし
ょうか。そうならなくても、副業禁止の就業規則が、採用にお
ける大きなデメリットになる時代が近く訪れます。この機会に
副業について考えてみてください。