◆1.財務力(資金余力)の強化を!
◆2.余計なものをそぎ落とした『Simple』な経営体の
構築を!
◆3.働き方(働かせ方)、雇い方、人事の考え方を見直す!
◆4.アフターコロナ、ウィズコロナの新ルールの創造と適合!
■これからの経営について!

◆1.財務力(資金余力)の強化を行ってください。

コロナ禍は、有事当日のキャッシュポジション・金融機関との
関係性で明暗が分かれました。平時から財務に策を持っていた
会社様は、その分アドバンテージを得ました。緊急融資はプラ
スαの余裕資金として調達できたはずです。常日頃から、最大
限の資金を持ち続ける、金融機関との良好な関係を継続するこ
との重要性が証明されました。
もう一度可能な限り財務力(資金余力)の強化を行ってくださ
い。

◆2.余計なものをそぎ落とした『Simple』な経営体を
構築してください。

有事は余計なものを保有するデメリットが顕在化します。今こ
そ、その余計なものをそぎ落としてください。貴社にとって力
相応な規模、最適な仕組みへの組み換えを実施してください。

◆3.働き方(働かせ方)、雇い方、人事の考え方を見直して
ください。

働かせ方、雇用の仕方、人事…過去にとらわれず抜本的に変え
ていきましょう。(優秀な)雇用される側には、たくさんの選
択肢が準備されています。優秀な従業員を逃がさないように、
働き方(働かせ方)、雇い方、人事を時流に適合させていきま
しょう。

◆4.アフターコロナの新ルールの創造と適合を目指してくだ
さい。

〇デジタルシフトは一過性の流行ではありません。急激に進む
新しいトレンド・ルールチェンジです。コロナ禍終焉後も打ち
切ることなく、継続してしっかり定着させましょう。元に戻さ
ないでください。

〇脱・3密対策も新しいルールです。これも一過性の事柄では
ありません。最低限の常識として、最大限配慮することで、顧
客の安心感を取り戻しましょう。飲食店などは、そもそも3密
を目指した業態です。レイアウトや家具・備品の配置等、その
設計思想を変えていかねばなりません。容易ではありませんが、
できることから確実に実行しましょう。
■有事は経営者の真の実力が問われました。結局、よく勉強す
ることしか他に方法はありません。以下の言葉を再確認してく
ださい。

◎『世の中に存在するのは、良い会社と悪い会社ではなく、優
秀な社長とそうでない社長のみ!』(一倉定先生)

また、勉強は、3か月続けてもほとんど変わりません。3年続
けると成果が表れます。10年続けると、人生が変わります。

◎『勉強は、魂に染み込むぐらいでないと意味がない!』
(稲盛和夫先生)
※追伸:もう一度可能な限り財務力(資金余力)の強化を行い
ましょう。ご遠慮なく当事務所までお問い合わせください。

営業CFのマイナスを理由に融資を断られることがあります。
しかし、営業CFがマイナスになる要因は、必ずしも業績不振
だけではありません。業績が好調で先行投資を積極的に行って
いる会社も、営業CFがマイナスになることがあります。

先行投資によりキャッシュフローがマイナスになっている場合
は、先行投資を止めれば、いつでもキャッシュフローをプラス
に転じることができます。営業不振によるものとは全く違いま
すが、営業CFのメカニズムを深く理解していない銀行員も多
くいますので必ず説明が必要です。

粗利率30%、販管費支出が月100万円の通信販売事業者の
ケースで考えてみます。100万円の販管費支出をカバーする
には、100万円の粗利益が必要ですので、最低でも、233
万円の仕入れを行って、333万円の売上高を獲得しなければ
なりません。

もし、営業不振により、売上高が300万円しか獲得できなけ
れば、粗収支は300万円-233万円=67万円になります
ので、販管費支出100万円をカバーできず、33万円の営業
CF赤字となります。

しかし、営業が好調で400万円の売上高を獲得しても、更な
る売上の増加を目指して350万円の仕入を行えば、粗収支は
400万円-350万円=50万円になりますので、こちらも
販管費支出100万円をカバーできず、50万円の営業CF赤
字となります。

前者の場合は、売上を増やさなければ営業CFをプラスにする
ことはできませんが、後者の場合は、400万円の売上高に合
わせて、仕入を280万円に抑えれば、いつでも20万円の営
業キャッシュフローを確保できます。

このことを銀行員に理解してもらうためには、資金繰り表が必
須です。言葉だけで説明するのは困難ですので、資金繰り表を
示して、「売上高が予想を下回っても、ここの仕入れを抑えれ
ば営業CFはいつでもプラスに持っていけます・・・」という
風に、シミュレーションを交えて説明すれば、「なるほどそう
いうことか!」と理解してもらえます。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

多くの事業体にとって、デジタルシフトは共通のテーマです。
以下の4つについて整理いたします。

◆1:デジタルとリアル、その選別を!
◆2:売り方と業務のデジタルシフト!
◆3:働き方・雇い方のデジタルシフト!
◆4:デジタルシフト、このルールチェンジに乗り遅れないた
めに!

◆1:デジタルとリアル、その選別を!

最大限デジタルにシフトして、残りのリアルは高付加価値化を
図る、リアルはVIP&VVIPに限定して高付加価値化を図りましょ
う。平等主義から脱却しましょう。この選択肢が主流になりそ
うです。

(例)コンサート
廉価でオンライン配信、リアルは人数限定で高価で最高の環境
を提供する。

(例)プロ野球
廉価でオンライン配信(TVは無料)、リアルは人数限定で高
価で最高の環境を提供する。

(例)アパレル
オンラインで販売、リアルでは最大のおもてなしを行う。

(例)セミナー
廉価でオンライン配信、リアルは人数限定で高価で最高のサポ
ートを行う。

◆2:売り方と業務のデジタルシフト!

自社媒体による直販体制(D2Cモデル)を構築しましょう。

〇デジタルの販売比率の向上を図る!
〇紙媒体からテキスト媒体、さらに音声・動画媒体への転換を
図る!
〇対面業務・営業からオンライン業務・営業への転換を図る!
(オンライン業務・営業が許容される環境が整いました。)

◆3:働き方・雇い方のデジタルシフト!

紙情報、決済(印鑑)等のボトルネックを無くしましょう。

〇紙情報をクラウド上のデータへ移す!(アクセス可能な環
境整備)
〇出社しての勤務からテレワークへ転換を図る!
〇総合型業務からジョブ型業務への転換を図る!
〇人事制度(雇用形態や評価制度)を大きく見直す!

◆4:デジタルシフト、このルールチェンジに乗り遅れないた
めに!

デジタルシフトを大きな経営目標に掲げてください!

〇元に戻そうとする敗者の行動パターンを模倣しない!
〇できない理由ではなく、やり切る決意を持つ!
〇同業種上位20%以内のデジタルシフトを実現する!

近い将来、あの時(コロナショック、令和2年春)が自社の転
換点であったことに気づかれるはずです。多くの事業体にとっ
て、デジタルシフトは喫緊の重要な経営課題です。元に戻そう
とする敗者の行動パターンを模倣することなく、信念を持って
取り組んでください。

好む好まざるにかかわらず、この時流は止まりません。

物の本によると、倒産とは、「企業が債務の支払不能に陥った
り、経済活動を続けることが困難になった状態を指す。法的倒
産と私的倒産の2つに大別され、法的倒産では再建型の会社更
生法と民事再生法、清算型の破産と特別清算に4分類される。
私的倒産は、銀行取引停止と内整理に分けられる。」と定義さ
れています。

しかし、厳しい状況に追い込まれながらも倒産を選択せずに事
業を継続している社長様もいらっしゃいます。家賃や人件費が
払えない、返済ができないからと言って倒産するとは限りませ
ん。基本的には、経営者の意思で法的整理や私的整理等の行動
を起こしてはじめて倒産となります。倒産するかどうかは経営
者次第です。

ある社長様の事例です。第三者から資金支援を受けて事業拡大
に挑戦しましたが、出店した新店舗が軌道に乗らず、会社全体
の資金繰りが悪化してしまいました。やむを得ず新店舗の撤退
を決断したところ、スポンサーから支援の打ち切りだけでなく、
これまで受けた支援資金の返済を執拗に迫られるようになりま
した。

ご相談に来られた時は、倒産しか選択肢はないと思い込んでお
られましたが、倒産するかどうかは社長様次第であることをご
説明したところ、「債務免除を受けて今が楽になっても、就職
はすぐに出来ないだろうし収入がなくなるのは困る。止める事
はいつでも出来るので、もう少し頑張ってみよう。」という結
論に至りました。

継続を前提として資金繰り予測を立てたところ、銀行と大家さ
んの協力があれば、何とか資金が回ることを確認できたため、
計画書類を作成して銀行と大家さんのところへ出向きました。
大家さんは延滞分の分割払い、銀行は返済猶予に快く応じてく
ださいました。

それから約1年後、売上は大きく落ちましたが、僅かながら黒
字決算となりました。スポンサーからの嫌がらせも徐々に収ま
っているようです。社長様は、「この調子でいけば債務の返済
も少しずつできそうだ。1年前は現状から逃げることばかり考
えていたが逃げなくて良かった。おそろしい程メンタルが強く
なっただけかもしれないが、今考えると何てことはない。」と
笑っておられました。

この選択が正しかったかどうかは分かりませんが、倒産しない
というのも一つの選択肢です。

容易ではありませんが、適正な価格設定を目指したいものです。
「値決め」は、安すぎても、高すぎても経営の足を引っ張りま
す。それぞれ弊害をもたらします。

また、客層を含む生きる世界観、経営観は「値決め」で決まり
ます。経営の起点は「値決め」です。

以下の4つについて言及します。
◆1.真の適正価格を探求する!
◆2.安すぎる「値決め」の弊害!
◆3.高すぎる「値決め」の弊害!
◆4.値決め力を養うためには!

◆1.真の適正価格を探求する!

◎『値決めこそ経営』(稲盛和夫先生)
◎『松下電器は相当大きくなるまで私が値決めをしていた』
(松下幸之助先生)

多くの偉人が「値決め」の重要性について強く語っておられま
す。多分、我々凡人が想像する以上に「値決め」の経営に与え
るインパクトは大きいのでしょう。

◆2.安すぎる「値決め」の弊害!

●弊害1:安いのでたくさん売れる。

繁盛貧乏に陥り身動きが取れなくなっている事業者様は少なく
ありません。頑張っていて、評価されている?(繁盛している)
のに利益が出ない、この状況は経営者や従業員を疲弊させます。
安すぎる「値決め」が招く弊害の一つ目です。

●弊害2:安すぎて信頼されない。

「安くてよいものは存在しない」と考える人は安さを疑います。
安すぎる「値決め」は、一定の割合で存在する安さを嫌う優良
客を排除してしまいます。これは致命的な弊害です。

◆3.高すぎる「値決め」の弊害!

●弊害1:高いので売れない。

売れないので閑散貧乏状態になります。ただ、売れない時は暇
なので見直しの方向に是正されます。この点が繁盛貧乏状態と
の違いです。高い価格に向かって価値を積み上げるのか、価格
を下げて適正化を図るのか、どちらかの方向に向かいます。

●弊害2:高すぎるが上手に売る。

高すぎるモノやサービスを営業力で売り切る、一見良さそうで
すが本当は間違えです。売る側は、高すぎるモノを売り続ける
ことに疲弊します。買った側には時間とともに不満が蓄積しま
す。長期間の安定した経営は望めません。上手すぎる営業の弊
害です。営業は少し下手位がちょうど良いようです。

◆4.値決め力を養うためには!

経営者には、様々なモノやサービスを購入する体験を積み上げ
ることで、幅広い価値観を理解できる知見を磨くことが求めら
れます。例えば、客単価3千円の飲食店オーナーも、客単価数
万円までの会食を定期的に体験することで、自店の相対的・絶
対的価値を確認することができます。できているのでしょうか?
値決め力を磨き養う継続的な投資は重要です。

客層を含む生きる世界観、経営観は値決めで決まります。起点
は値決めです。安くしようとすると、生きる世界が落ちて行く、
客層も悪くなります。高くしようとすると、生きる世界が上が
る、客層も良くなります。ただし、高く上手に売りすぎると客
離れを起こします。自分の畑が枯れる、自分が疲弊します。

だから…
◎『値決めこそ経営』(稲盛和夫先生)
◎『松下電器は相当大きくなるまで私が値決めをしていた』
(松下幸之助先生)でしょうか。

アフターコロナは利益にこだわる経営を行いましょう。
今すぐ、値決めの検討を始めませんか!

新型コロナウィルス感染拡大の影響が長引いており、幅広い業
種で悪い影響が着実に進行している印象です。直接的に影響を
受ける業種は防ぎようがない場合もありますが、間接的な影響
で経営悪化に陥る企業は、人間と同じく、元々何らかの疾患が
あったのではないでしょうか。

企業の疾患はいくつかありますが、最も多いのは「高コスト体
質」です。業歴の長い企業様によく見られますが、まずまず売
上があるにも関わらず、赤字体質となっている企業です。

このような企業様に共通して見られるのは、まず管理部門の人
件費負担が大きい点です。売上高はピーク時の半分になってい
るにも関わらず、管理部門の人員は半分になっていない、業務
オペレーションも昔から変わっていない、などが原因として挙
げられます。

新興企業の管理部門はコンパクトです。管理する項目が元々少
ないというのもありますが、ITツールを活用し、最低限の人員、
オペレーションで業務を回しています。一例ですが、記帳業務
は経理が会計ソフトにダイレクトに入力し、上司や社長は会計
ソフトに自身でアクセスして業績やお金の動きを見ています。
一方、高コスト体質の企業は、まず紙の振替伝票を作成し、そ
れを上司がチェックして、ようやく会計ソフトに入力するなど、
作業が重複している部分があります。より正確性を求めるとい
う点においては正解ですが、利益とのバランスをとるべきです。

次に、相場より高い費用を払っているケースもお見受けします。
例えば、自社開発した管理ソフトのメンテナンス費用が高額で
ある場合等です。販売管理ソフトや会計ソフト等は高性能かつ
安価なものがたくさん出ています。業務オペレーションを変え
るのは負担だという理由だけで、高額なうえに性能が劣る自社
開発ソフトを使い続けるのは問題です。

また、購買先が硬直化しており、相場よりも高い料金を支払っ
ているケースもよく見られます。例えば印刷費です。毎年作成
しているチラシやパンフレットの類を昔からのお付き合い先に
任せています。何の疑問も持たず、前年に倣って発注していま
すが、印刷費は近年大幅に価格が下がっています。もちろん企
画やデザイン料は下がりませんが、印刷費自体は大規模な設備
投資により価格の引き下げに成功した業者が複数あります。取
引先を大切にすることは賛成ですが、馴れ合いの関係が経営を
圧迫することがあってはいけません。

個別の事例をいくつか挙げましたが、問題は意識の硬直化、ル
ーティン化にあります。厳しい事態を生き抜くため、定期的に
コスト構造を見直すようにしましょう。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

日本の企業は規模の拡大にこだわり過ぎています。何が何で
も規模を拡大しようとすると、規模を拡大するために多くの犠
牲を払うことになります。経営上無意味な不採算事業や不採算
顧客を過度に温存することになります。規模拡大至上主義は、
分散症候群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・規模
拡大至上主義、縮小を容認する経営に移行してください。』

言うまでもなく規模は重要です。規模の縮小を容認する経営を
長期間続けることは困難です。数年に一度、または、数年間に
限定して、敢えて規模の縮小を容認する経営を導入してくださ
い。今まで取り組んでいなかった会社様は、この機会に、敢え
て縮小を容認する事業計画を立案して執行してください。経営
が、会社が大きく変わります。強くなるはずです。

この前提で以下を確認してください。

■拡大発想からの脱皮!

○例えば、従業員数は多い方が良いのか?

力があれば、たくさんの従業員を抱え、その雇用と教育機能を
果たすことには大きな社会的意義があります。100人を雇用
する会社よりも、500人の従業員を抱える会社の方がこの意
味でははるかに立派です。ただし、力があれば、力相応の範囲
で、この条件が付帯します。

力相応を越えた部分の雇用には、会社側も、雇用される側の従
業員にも、様々な問題を内包することになります。

○例えば、店舗数は多い方が良いのか?

10店舗の高収益店舗と、5店舗の採算分岐点ギリギリの店舗
の合計15店舗を経営する飲食企業と、10店舗の高収益店舗
のみを経営する飲食企業、どちらが良い会社か?との意味です。

イメージとしては、前者は年商15億円、営業利益1億円、後
者は年商10億円、営業利益1億円になります。

少なくない中小企業経営者が、従業員が多い方、規模が大きい
方を我武者羅に目指しているように見えます。この考え方は、
時に規模拡大至上主義を招きます。

■縮小を容認する計画を!

貴社が、上記のような考え方を長期間続けていたならば、一度
発想を変えてみることをお薦めします。規模の縮小を容認する
考え方です。今が好機、と言うよりは今必要です。

○例えば、どんどん人を増やして売上を作りに行くよりも、仕
事を選別して増員を控える選択肢を用意することです。マネー
ジメントは、その規模が小さいほど容易になります。

○例えば、収益の見込めない分岐点ギリギリの店舗は手放して
しまう選択肢を用意することです。店舗数が減ると、マネージ
メントは容易になります。

規模の拡大には、力相応の拡大と力不相応の拡大があります。
言いかえると、自然に成長した拡大と、無理やり伸ばした拡大
があります。後者には大きなストレスが伴っているケースが多
いです。縮小を容認することで、会社に余力が生まれます。

感染症対策関連の国の施策は徐々になくなります。平時に戻り
ます。コロナ融資で膨らんだ債務や痛んだBSを立て直してい
かねばなりません。そのためには、PLを立て直す、利益を出
す、これしか他に方法はありません。

思考停止せず、学び・考え、動きましょう。
ご遠慮なく当事務所にもご相談ください。

お客様の新規事業計画書の作成をお手伝いしました。ある商品
を仕入れてインターネットで販売する事業です。以下、お客様
とのやり取りです。

私:どれぐらい売れば黒字化する見込みですか?

お客様:売上によって原価や経費が変わりますので計算に苦労
しています。300万円の売上高でも経費を抑えれば利益は出
ますし、500万円の売上高だと経費も増えるので逆に赤字に
なる場合も・・・・

私:売上を基準に考えるより、経費を基準に考えてはいかがで
しょうか?まずは、いくら売れそうかではなく、現実的にいく
ら原価や経費をかけられるかを検討してみましょう。家賃や正
社員の人件費など、売上がゼロでも必ずかかる費用はどれぐら
いでしょうか?

お客様:月100万円ぐらいでしょうか。

私:では次に、商品の粗利率はどれぐらいでしょうか?

お客様:20%は取れると思います。ただ、モールの手数料が
5%、広告費が5%ぐらいかかります。

私:では粗利率10%で計算しますね。固定費100万円÷粗
利率10%が損益分岐点となります。1,000万円の売上で
利益トントンとなりますが、固定費100万円の陣容で1,000
万円の販売は可能でしょうか?

お客様:いえ、今の人数だと500万円ぐらいが精一杯です。

私:そうですか。では、固定費をもっと下げることは可能でし
ょうか?

お客様:人件費が大きな割合を占めますが、人員を減らすのは
嫌ですね。

私:それでは粗利率を上げるしかないですね。仮に粗利率を15
%で計算すると、売上高が667万円で利益トントン、20%
だと500万円で利益トントンです。

お客様:なるほど。粗利率が10%上がれば半分の売上で黒字
を確保できるのですね。仕入先を見直すなどして何とか粗利率
を上げる策を講じてみます。

私:承知しました。次に資金繰りを見てみましょう。今回の事
業に投資できる資金は700万円ですね。固定費が月100万
円ですので、仮に売上が全く無かったら、7か月で資金が底を
つきます。ですので、何とか半年程度で損益分岐点売上高500
万円を確保したいですね。

お客様:それぐらいの時間があれば大丈夫だと思います。確か
に売上高から原価や経費を予測するより、実際に投資可能な原
価や経費から売上高を予測する方が現実的で分かりやすいです
ね。ありがとうございます。

よくある売上計画の作成方法として、市場規模の何%を獲得で
きるかを予測する方法があります。もちろん一つの手法ですが、
売上を立てるためには、先に原価や経費の支出が必要であるこ
とを忘れてはいけません。

資金力に乏しい小規模企業の場合、支出可能な原価や経費を先
に算出し、それを賄うにはどれぐらいの売上が必要か、そして、
その売上は実現可能性があるのか。という視点で組み立ててい
くのがコツです。

前回号のつづきです。

言い古された言葉ですが、時代は大きく変わっています。特に
1995年以降のIT革命は、ビジネスのルールそのものを変えて
しまいました。であるにもかかわらず、多くの中小企業は昭和
中期の考え方で、ビジネスモデルで経営を続けています。

日本の一人当たり労働生産性がOECD加盟38カ国中28位(IMF
は、2022年は30位に下がると予測)にまで落ちてしまった大
きな原因の一つには、これが挙げられるはずです。

新しいビジネスのルールに適合させること、時流・トレンドを
捉えること、言い換えると、そのためのイノベーションに励む
ことが急務です。

以下、時流・トレンドに適合して、イノベーションを起こすた
めの8つのヒントについて言及します。

◆1.デジタルシフト!

〇デジタルが主、リアルが補完する、パワーバランスが変化す
る!
※試着(現物確認)・リサーチ専門店の出現!
※基本はデジタル、リアルは限定的に!

◆2.中間流通、小売業の衰退!

〇中間事業者はニューミドル(販売代理⇒購買代理)の立ち位
置を確保!
〇メーカー(サプライヤー)はD2C(C2M)マイチャンネ
ルの構築!
〇プラットフォーマーと共存!

◆3.マネタイズ、投資思想、顧客との関係性の変化!

〇売り切りからサブスク(継続課金)への転換を図る!
〇フリービジネスの更なる台頭!マネタイズポイントの変化!

◆4.商品・サービス提供からソリューションの提供へ!

〇もの・こと提供者からソリューション提供企業への転換!
※ブリヂストンはタイヤメーカーからソリューション提供企業
へ!

◆5.業界分類の崩壊!

〇現業界にこだわらない事業展開!業界の壁の破壊!事業立地
の変更!
※アマゾンは、物販⇒クラウド⇒金融⇒…

◆6.持たざる経営、保有のデメリットが顕在化!

〇日本のBIGカンパニーは保有のデメリットと戦う!
※人・ハード…余剰整理との戦い!

◆7.経済の効率化が進む!

〇本格的な人余りの時代が到来する!
〇大企業は余剰人員・余剰設備の削減と戦う!
〇ベーシックインカムの検討・導入?

◆8.格差が拡大する!

〇中小企業はアッパーニッチで自社領域の確保を目指す!
※ロアマスに生きる余地は少ない!

絶対に逆らってはいけない相手は時流・トレンドです。時流と
いう強烈なうねりに適合しながら、自社の経営をより良いもの
に作り込んで行きましょう。

店舗型の事業を営む方から、新規出店資金の調達が上手くいか
ないというご相談がありました。既に施設を3店舗有しており、
今回は4店舗目の出店を計画しているそうです。

財務内容を拝見すると、確かに借入水準はやや高い状態ですが、
一定のキャッシュフローは出ており、また、見合いの固定資産
も有しているため、全く話を聞いてもらえないレベルではない
と感じました。

今回、社長様と経理の担当者で来社されたのですが、社長様は
とにかく新しい店舗を矢継ぎ早に出店したい、経理担当者は社
長に振り回されて資金調達に奔走しているという印象を受けま
した。

経理担当者に、融資申し込み時に提出した資料を見せて欲しい
と依頼すると、決算書と試算表だけだとおっしゃいます。金融
機関に、4店舗目を出店する話もしていないそうです。

これまでの資金調達についても、実際には店舗の出店資金であ
ったが、計画書類を提出したことがなく、全て運転資金として
融資を受けてきたとおっしゃいます。借入の中身を見たところ、
確かにコロナ融資が過半数を占めています。

業種・業態によって、運転資金の融資上限額はある程度決まっ
ています。一方、設備資金は個別の計画を検証したうえで、総
合的に判断されますので、上限額が最初から決まっている訳で
はありません。

よって、今回も運転資金として融資を申し込んだ場合、過去の
融資が実際は設備資金にあてられたとしても、「運転資金は十
分に貸しているでしょ。」となるのは当然です。

経理担当者は、「元々財務の知識がある訳ではないし、資金繰
りも厳しいので、運転資金でお金が必要なのか、設備資金でお
金が必要なのか区別が出来ていなかった。」とおっしゃってい
ました。

運転資金の方が提出書類も少なく、申込が簡単ではありますが、
借入額に上限があります。使い道が設備であれば、設備資金と
して個別に調達をすることで、運転資金の枠を残すことが出来
ます。

設備資金は見積書や計画書等の提出が必要になりますが、丁寧
にひも付きにすることで、調達の総額を増やすことができます。
○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。