貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。

■病名3:【財務無策症候群】という病は…

創業者~中小企業まで、その過半は財務機能を有していません。
また、間違えた考え方を鵜呑みにしておられる経営者も少なく
ありません。
○資金調達のための与信力が低いにもかかわらず、資金のダム
を作って備えようとしません。
○(日傘しかない)金融機関に、資金が不足した時に融資を受
けに(雨傘を借りに)行こうと考えています。
○利益は納税額だけではなく、今後の資金調達力を決めること
になる、これを理解せず、目先の過度な節税を目指します。
※借入れ(融資)可能額は、簡易キャッシュフロー(税引き後
利益+減価償却費)を基準にその概算が判定されます。
これらの財務無知から来る財務無策は、『お金に苦労する経営』
という結果を招くことになります。

■この様に、財務に対する備えが希薄、または、間違えた考え
を持っている経営体を『財務無策症候群』と呼びます。

【財務無策症候群】の経営体には、以下のような症状が現れま
す。
1.金融機関との継続的な関係を築けていない。必要な時のみ
頼る。
2.資金繰りに苦労をしても、借入れは少ない方がよいと考え
ている。
3.資金繰りの余裕が少ない。
4.支払金利に(過度に)敏感である。
5.継続的に資金繰りを管理する仕組みを持ち合わせていない。
6.そもそも『財務』の概念を知らない。

いかがでしょうか?

■『財務無策症候群』という疾病を整理します。

○財務戦略がないために、お金に苦労する経営体に甘んじる病
です。

○原因
財務無知、または、財務無策です。

○症状
手持ち資金が極小であっても、資金繰りに苦労しても、とにか
く借入れを減らして(行わずに)経営を続けようとします。
また、貸し手である金融機関の都合を理解できず、自社の都合、
必要な時に必要な金額だけ貸して欲しいとの借り手の都合で行
動します。少しでも歯車が狂えば、途端に危機的な状況に陥っ
てしまいます。早期の治療が必要です。

■『財務無策症候群』への対応は、財務の機能を持つことです。
中堅以上の企業には、必ずこの機能があります。

○対策
1.金利を気にせずに『借りられる時に借りられるだけ借りる。』
2.『貸し手の論理』(借り手の論理ではなく)に沿って資金
調達を継続する。
3.納税を恐れずに利益をだす。
自己資本の充実と簡易キャッシュフローの最大化を図る。
4.精度の高い6カ月~1年先までの資金繰り計画を持ち続ける。
5.金融機関との継続的な関係を構築する。

■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。

◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体
を維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

…次回号につづきます。

大きな事業を目指せば目指すほど資金は必要になります。経営
者にとって、資金の供給面で最大の事業パートナーとなるのは
金融機関です。パートナー選びを間違わないようにしましょう。
より多くの資金調達を目指す場合の正しい金融機関選びをご紹
介します。

地域により目安となる年商規模が変わる可能性はありますが、
下記は、年商に応じた取引金融機関のイメージです。

■ 創業から年商3億円程度までのステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合からの保証協会保証付き融資
・信用金庫、信用組合からのプロパー融資

■ 年商3億円程度から年商10億円程度までのステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行からの保証協会保証付き融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行からのプロパー融資

■ 年商10億円超のステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行、メガバンクからの保証協会
保証付き融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行、メガバンクからのプロパー
融資

審査の難しい順で並べると、最も融資を受けやすいのは日本政
策金融公庫で、次に保証協会保証付き融資です。続いて信金信
組プロパー融資、地方銀行プロパー融資、メガバンクのプロパ
ー融資となります。

資金戦略上最も重要なポイントは「保証協会保証付き融資をど
この金融機関に割り振るか。」です。保証協会とは、その名の
とおり保証をする機関であり、直接融資をすることはありませ
ん。保証協会の保証があれば、例え創業したばかりの企業でも
メガバンクから融資を受けることができますが、保証付き融資
を利用する金融機関選びは重要です。

メガバンクからプロパー融資を受けられる基準にない企業が、
保証付き融資をメガバンクで利用したケースを考えてみます。
メガバンクとの関係は、あくまでも保証付きが前提ですので、
いざと言う時にプロパー融資をお願いしても門前払いです。
その時に慌てて信金信組に駆け込んでも、初めてお付き合いす
る相手にいきなりプロパー融資を出す可能性は低くなります。
また、信金信組の立場からすると、「メガバンクが安全性の高
い保証付き融資なのに、なぜうちだけがリスクの高いプロパー
融資を出さなくてはならないのか?」となります。

別の見方で検証します。貴社が年商3億円の企業と仮定した場
合、超大手企業をメインの取引先としているメガバンクにとっ
て、貴社はあまり重要でない顧客です。形式上の担当者か、も
しくは担当すらつかないこともあります。一方、地域密着型で
比較的小規模の事業者を取引先としている信金信組では、貴社
は重要な顧客として迎え入れられる可能性があります。エース
級の担当がつき、プロパー融資も含めて資金面を支えてもらえ
る確率が高まります。

より多くの資金調達を目指す場合、いかに早いステージでプロ
パー融資を調達できるかどうかが重要になります。いきなりプ
ロパー融資を受けられるケースは少なく、一般的には保証付き
融資からスタートして信用を積んだ後、少しずつプロパー融資
を受けられるようになります。保証協会の保証枠には上限があ
りますので、最もプロパー融資を出してくれる可能性の高い金
融機関で保証付き融資を利用するのが最善です。

貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。

■病名2:【安売り症候群】という病は…

「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに
掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けす
ぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与え
るダメージを過小評価してはいけません。
経営者は閑散な状態を嫌います。故に、安すぎる「値決め」を
して、貧乏しても繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛
貧乏」がはびこるのはこのためでしょう。
経営者は楽な道を選びます。苦労して付加価値を積み上げるよ
りも、価格を低く抑えて価値とバランスしようと考えてしまい
ます。価格を売るための道具に使ってしまいます。
安売り戦略の大罪は、良いものを創り出そうとする知恵を奪い
取ることです。この愚策を長年続けている集団から、新たな商
品やサービスを創り出す創造力は生まれません。商品やサービ
スの価値と価格のバランスは、その価格を下げて市場に合わせ
るのではなく、その価値を向上させることで調整してください。
多くの偉人たちが語る経営の王道です。

■この様に、「値決め」が弱気で利益を出せない経営体、さら
に、新しい価値を生み出す創造力を無くしてしまった経営体を
『安売り症候群』と呼びます。

【安売り症候群】の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.頑張っているのに儲からない。
2.新しい商品、サービスを創造できていない。
3.利益は出なくて良い、と思うことがある。
4.値上げをしたいと思っていてもできない。
5.ぎりぎりの経営をしていると感じる。

いかがでしょうか?

■【安売り症候群】という疾病を整理します。

○値決めに対する姿勢が弱気で、利益管理も曖昧になる病です。

○原因
安くないと売れないとの思い込みが原因です。良いものには相
応の値段を(それなりのものはそれなりの値段を)付けてくだ
さい。良いものを安く売る必要はありません。原価が上がれば
価格を見直す、この当たり前の企業行動を取らなければ、利益
がどんどん減ります。利益が薄くなればなるほど、良いものを
作ろうとする知恵や創造力を失います。最後は、薄利は善、利
益は悪の心境に陥ります。こうなると末期です。

○症状
二つのレベルに分かれます。繁盛貧乏のレベルが第一段階です。
このレベルは頑張っているのに値決めを間違えていて儲からな
い状況です。この段階では価格の見直しを行えば容易に治癒で
きます。第一のレベルを続けていると、頑張っても儲からない
と思い込み、頑張る意欲、より良いものを創造しようとする力
を失くしてしまいます。最後には、儲からない自分を正当化す
るために、儲けは悪、儲からないことが善、ビジネスそのもの
を否定するようになります。

■【安売り症候群】への対応は…「繁盛貧乏」から抜け出すこ
とです。『高収益化(Profitable化)』と定義します。

○対策は…高収益(Profitable)を目指す、ここから始めてく
ださい。
1.値決めを再考ください。値上げを検討してください。
2.付加価値の向上を目指してください。
3.利益管理を徹底してください。
4.コストを抑えてください。

■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。

◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体
を維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

…次回号につづきます。

金融機関はいくつかの種類に大別でき、それぞれ特性が違って
います。しかし、金融機関の種類について深く考える機会はあ
まりなく、経営者様の多くは、何となくご縁があった金融機関
とお付き合いをしているというのが実情ではないでしょうか。
企業にとって密接な関係のある金融機関についてまとめます。

◆政府系金融機関
最も有名な政府系金融機関は日本政策金融公庫です。預金取引
は行わない融資取引のみの金融機関で、信用力が低い創業時か
らお付き合いできる数少ない金融機関です。企業規模に関わら
ず、事業資金の融資相談に乗ってもらえます。

◆メガバンク
明確な定義はありませんが、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三
井住友銀行の3行を3大メガバンク、りそな銀行を加えた4行
を4大メガバンクと表現することが多いようです。規模が大き
く全国に支店があるため、口座を持っているという方も多いと
は思いますが、事業資金のプロパー融資取引となると、規模の
小さな中小企業にとっては、少し敷居の高い金融機関です。

◆地方銀行
各都道府県に本店があり、地域経済の発展に尽力している金融
機関です。地域経済に大きな影響力を有する企業や地場産業を
営んでいる企業を中心として、主に地域の中小企業向けに融資
取引を行っています。メガバンクとは違った役割を担っていま
すが、「銀行」ですので、審査の傾向はメガバンクと似ていま
す。

◆信用金庫
地域経済の発展に尽力している点においては地方銀行と同じで
すが、信用金庫は、地方銀行よりも、さらに地域の細部に根付
いています。経営形態も銀行とは違い、企業が出資者となって
相互扶助を目的とする協同組織型の金融機関です。よって、ま
ず出資をして会員とならなければ融資取引をしてもらえないの
が一般的です。小規模の事業者にとっては、身近な存在です。

◆ノンバンク
預金の受け入れは行わず、融資取引のみを行う金融機関をノン
バンクと言います。信販系やリース系の金融機関もノンバンク
に分類されます。金利は高いものの手軽に利用できるメリット
があります。

他にも農協等の協同組合や、信託銀行等の金融機関もあります。
事業資金の融資を受ける場合は、金融機関のネームバリューで
はなく、特性を理解して選定することをおすすめします。

貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。

■病名1:【分散症候群】という病は…

経営体(そもそも世の中)の諸々はすべて、時間の経過ととも
に複雑な方向に、増える方向に動きます。世の中のベクトルは
複雑化・増加であって、単純化・減少ではありません。従って、
自然に物が増え、書類が増え、手続きが複雑になり…高コスト
になります。品揃えが増え、在庫が増え…総花的になります。
弱くなります。人は仕事が増え(自らが増やし)…多忙になり
ます。故に、強烈に意識しない限り、時間が経過するごとに会
社はややこしくなります。弱くなります。長時間労働や生産性・
収益性の低さの主たる原因の一つはこれだと思っています。

■この様に、複雑化・増加のベクトルに巻き込まれ、対応でき
ていないがゆえに生産性・収益性の低さを招いている状況の経
営体を【分散症候群】と呼びます。

【分散症候群】の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.社内の動きが遅く(悪く)なる。
2.オペレーションのミスが多くなる。
3.経営コストが割高になる。
4.商品、サービスが総花的で特徴がない。
5.頑張っているのに儲からない。
6.新しい商品、サービスを創造できない。

いかがでしょうか?

■【分散症候群】という疾病を整理します。

○商品やサービスの幅を広げ過ぎて、マーケティングが曖昧に
なる病です。誰に・何を売るかがぼやけてしまっています。

○原因
商品の品揃えやサービスの幅を持たないと売れないとの思い込
みが原因です。企業は何もないところから始まります。このス
テージでは品揃えの強化や幅が必要です。しかし、一定のレベ
ルを越えたあたりから、商品の品揃え、サービスの幅、事業領
域を絞りながら成長を遂げるべきです。拡大は面を広げること
ではなく、面を狭めて深堀することです。このあたりが誤解さ
れています。だからこの病気が蔓延するのでしょう。

○症状
経営資源が分散され、社内のありとあらゆるものが複雑になる
ため、動きが悪くなります。対応が遅くなり、ミスが多発し、
全体にコスト高になります。各商品やサービスの磨きこみも十
分でなく、総花的な品揃え、サービスを提供しており、これと
いった強みもありません。

■【分散症候群】への対応は…止めて・減らして・集中して・
尖ることです。これを『単純化(Simple化)』と定義します。

○対策は…すべてを単純化(Simple化)することです。
1.減らすことです。絞り込むことです。
2.自社の強み(ツキ)を探して特化することです。

■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。

◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体
を維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

…次回号につづきます。

平成30年7月~9月のセーフティネット保証5号の指定業種
が発表されました。セーフティネット保証5号とは、業況の悪
化している中小企業が利用できる保証制度です。指定業種に含
まれていなければ利用できない制度ですので、まずはご自身の
業種が指定業種に含まれているか、下記中小企業庁のホームペ
ージにてご確認ください。

◆指定業種一覧
http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2018/18062025gou.pdf

ご自身の業種が指定業種に含まれていたら、次に、直近3ヶ月
間の売上高を前年同期間の売上高と比較します。もし、売上高
が5%以上減少していれば対象となりますので、セーフティネ
ット保証制度に申し込むことが可能です。(指定業種かつ売上
減少が要件です。)

具体的な申し込みの流れは、まず市区町村長の認定を受け、そ
の後、銀行等金融機関に認定書を持ち込みます。認定の受け方
については中小企業庁のホームページでご確認ください。

◆認定の受け方(中小企業庁HPより引用)
対象となる中小企業の方は、法人の場合は登記上の住所地又は
事業実体のある事業所の所在地、個人事業主の方は事業実体の
ある事業所の所在地の市町村(または特別区)の商工担当課等
の窓口に認定申請書2通を提出(その事実を証明する書面等が
あれば添付)し、認定を受け、希望の金融機関または所在地の
信用保証協会に認定書を持参のうえ、保証付き融資を申し込む
ことが必要です。(引用終わり)

信用保証協会では、中小企業が利用できる保証限度額が無担保
で8,000万円と定められています。あくまでも利用可能な枠の
ことであり、必ず8,000万円の保証を受けられるということで
はありませんが、セーフティネット保証制度は、さらに別枠で
8,000万円の保証枠が設けられます。

通常の融資審査は業績が悪いと通りませんが、本制度は業績が
悪くなければ利用することができません。また通常の金利は、
業績が悪くなればなるほど高くなりますが、本制度は低い金利
で利用することができます。業績が悪くなることを歓迎したく
はありませんが、そうなった場合には利用したい制度です。

「足元の売上高が一時的に減少しているだけでも利用できるか
?」「売上高は落ちているが利益が出ている場合は?」「売上
高が伸びている事業と落ちている事業がある場合は?」等、本
制度の利用についてご質問やご相談があれば、お気軽にお問合
せください。

■1:当初の計画にとらわれ過ぎない経営を!
(ヘンリー・ミンツバーグ氏)

『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図し
たものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習
する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』
(ヘンリー・ミンツバーグ氏)

計画がなければ始められません。進むべき大体の方向、道しる
べが必要です。また、どれぐらいのペースで進めば、主に資金
が足りるのか、一つの基準としても計画は有効です。一方、近
未来を完全に予見できる程の知見を持ち合わせている人は稀有
です。また、日々の経験と成長は、新しい気付きをもたらしま
す。当初計画へ固持し過ぎると、新しい気付きを反映できなく
なります。計画を立案してその執行に邁進することのリスクを
肝に銘じるべきです。計画の必要性を認識しながらも、当初の
計画にとらわれ過ぎない経営が必要です。ヘンリー・ミンツバ
ーグ教授のメッセージを、再度ご確認ください。

■2:投資・費用と売上の複雑な関係!

経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目
を確実にコントロールすることです。これができれば、結果と
して望む利益も創出できます。

◆ただ、これらの指標は、それらが複雑に絡み合っているので
厄介です。
例えば…
・売上を上げようとすると、販促費(販管費)が膨らむ。
・一方、販促費(販管費)を投入しても、予定通り売上が増え
るわけではない。
・割引をして粗利益率を落とすと売上が増えることがある。
・ただ、売上が増えても、粗利益の総額(売上×粗利益率)が
増えないこともある。
・逆に、値上げをすることで、売上が増えることもある。
・営業人員(販管費)を増やせば売上が増えるはずである。
・ただ、人件費(販管費)の増加分を賄えないこともある。
・旅費交通費(販管費)を減らせば、売上が落ちることがある。
・開発費(販管費)を増やせば、将来の売上は増えるはずだ。
・ただ、将来とはいつなのか、また、どれぐらいなのか予見し
にくい。

◆また、投資と成果には時間差が出ることも問題を厄介にして
います。
例えば…
・販促費(販管費)の投入と売上の増加には、タイムラグが発
生する。
・営業人員(販管費)の投入と売上の増加には、さらに大きな
タイムラグが発生する。
・開発費(販管費)の投入と売上の増加には、相当長期のタイ
ムラグが発生する。

◆本来コントロールできるはずの、単独の販管費項目ですら見
込み違いが発生します。
例えば…
・人件費(販管費)に想定外の時間外手当が発生して止まらない。
・採用がうまく進まず、採用コスト(販管費)が膨らんだ。
・投資(販管費)が計画を大きく上回ってしまった。
・原価の高騰で粗利益率が下がってしまった。
だから経営とは面白くもあり辛くもありますが、社長という道
を選んだのなら、楽しみながら取り組みたいものです。

長い時間を経て、経営管理体制を構築して、安定した業績を出
せている会社は、様々な指標が、結果として適正にコントロー
ルされています。
一方、新規事業の立ち上げ、創業は、少なくない割合でうまく
いきません。「新規事業や創業事業計画を鵜呑みにしてはいけ
ません。」とお伝えするのはこのためです。

■3:コントロールするのか?適合するのか?

○経営の対象には…
◆1:コントロールできる事
◆2:頑張ればコントロールできる事
◆3:コントロールできない事
の三つがあります。

○経営を安定・成長させるためには…
◆1:コントロールできる事を完全にコントロールする事
◆2:頑張ればコントロールできる事をできるだけコントロー
ルする事
◆3:コントロールできない事には、できるだけ適合する事
※特に、時流には積極的に身を預けるぐらい適合する事が重要
です。絶対に逆らってはいけません。

コントロールできる事をコントロールしない事を『放漫経営』
と呼びます。
頑張ればコントロールできる事をコントロールしない事を
『怠慢経営』と呼びます。
コントロールできない事をコントロールしようとする事を
『独り善がり経営』と呼びます。
さらに、時流に逆らう経営は『最も愚かな経営』です。

数百万円の資金を元手に行うビジネスより、数千万円の資金を
元手に行うビジネスの方が、より大きなリターンを得ることが
できます。思い切った資金調達を行い、事業を拡大できた飲食
店様の事例を紹介します。下記A社は、「もっと大きな店舗を
経営したい。当社は最大どれぐらいの資金調達が可能なのか?」
というご相談で来所されました。

会社名:A社(仮称)
事業内容:飲食店3店舗経営
営業年数:9年
資本金:300万円
直近売上高:6,400万円
経常利益:14万円
長期借入金:1,600万円
純資産:339万円

年商1,000万円のBARを2店舗、年商4,400万円の
レストランを1店舗運営していましたが、経常利益は14万円
と低い利益状況に苦しんでいました。社長様は、1,000万
円規模の小規模店舗では利益が稼げないため、BAR2店舗を
閉めて、出来るだけ大きな店舗を新たに1店舗出店したいと考
えていました。

決算状況を分析した結果、返済原資となる簡易キャッシュフロ
ーは102万円と弱含み、また、売上高の25%の借り入れが
既にあり、新規で調達を行うためには、事業計画書を丁寧に作
りこむ必要がありました。

早速事業計画書の作成に取り掛かった結果、社長様がイメージ
している年商5,000万円の店舗を出店するためには、
2,000万円の借入が必須であると判明しました。目標調達
額は2,000万円です。

A社の利益状況、財務状況から判断すると、2,000万円と
いう目標額は簡単な金額ではありません。1金融機関に相談し
ても、「金額が大きすぎる。」と断られる可能性がありました
ので、各金融機関の負担が軽くなる協調融資で調達することに
しました。日本政策金融公庫さんと地域の信金さんにお声かけ
し、3者で協議を行った結果、下記のとおり、満額の資金を獲
得することができました。

【資金調達内訳】
・日本政策金融公庫 1,000万円
・信金保証付融資 500万円
・信金プロパー融資 500万円

A社は、調達した資金で立地の良い場所に出店を行い、業績を
順調に軌道に乗せることができました。2店舗を閉めたにもか
かわらず、翌期の決算では売上高が1億円を超え、約700万
円の経常利益を計上しています。

■1:ナンバーワンよりオンリーワン、アッパーニッチ戦略を!
(SP経営協会)

今ないモノ、あっても注目されていないモノ、マーケットが小
さすぎて大手が参入しにくいモノを対象とするビジネスは前途
洋洋です。

◆ナンバーワンよりオンリーワンを目指しましょう。
ナンバーワンは、競争に勝って一番になることです。オンリー
ワンは、競争せずに一番(?)になることです。競争しないた
めには、他人・他社と違うこと、世の中にないことを行うこと
です。お金・人・モノ、これらの経営資源の乏しい会社こそ、
競争しない経営を心掛けるべきではないでしょうか?小規模零
細企業、または、これから独立開業される方こそ、この発想が
重要です。

◆ほんの少し目先を変えて考えてください。
誰もが腰を抜かすような、画期的な商品やサービスを開発する
に越したことはありませんが、容易ではありません。いきなり
このようなことができる会社・社長は稀有です。そうではなく、
今取り組んでいる事業の、ほんの少し目先を変えて、どこにも
ないモノ・コトを開発しましょう。

◎高額商品でオンリーワンになる、アッパーニッチ戦略は現実
的です。
一本(3斤)3,000円を超える食パンをネット通販で販売
しておられる会社様があります。こんなに尖った食パンを求め
る顧客は多くありませんが、ネットを使って全国に展開すれば、
年商5億円~10億円(推測)ぐらいのパンメーカーが生まれ
ます。多分高収益なはずです。まさに、『新・食パン』メーカー
です。ネット通販は、大きな商圏に対して、尖った商品を限定
した顧客を対象に販売するのに最適です。とんでもない高額品・
サービスを開発してみてはいかがですか?
※ネット通販環境の進化は、大商圏に向けて小資本でビジネス
を展開することを可能にしました。

■2:脱・マーケットイン、プロダクトアウトの法則
(SP経営協会)

「消費者がより必要とするものを、適切な価格で提供する」
マーケットインの発想が正しいとされてきました。もちろんマ
スマーケットに打って出るなら、この発想は大変重要でしょう。
一方、中小零細企業は、限られたコア技術しか有しておらず、
また、大量販売する広告力も持ち合わせないため、コア技術を
活用した、ある種の「プロダクトアウト」の発想で商品開発を
行うしかありません。さらに、低コスト生産ができるはずもな
く、価格競争の土俵にも立てません。であるならば、コア技術
を突出させて、とんでもない味や機能を、原価を無視してでも
提供できる高額商品へのチャレンジが現実的です。

中小零細企業が必要とする売上はほんの数億円から十億円程度
です。数百億円も、数千億円もの売上をいきなり狙う必要はあ
りません。であるならば、得意な分野(コア技術)で、最高品
質のとんでもない商品を作り、ほんの一部の人に高く買っても
らう商売(=アッパーニッチ戦略)を狙ってみたらいかがでし
ょうか。
販売価格(原価)の呪縛を外した時に、とんでもない商品が出
来上がるかもしれません。

■3:イノベーションは、生産者からの提案が起点!
(シュンペーター)

「経済における革新は、新しい欲望がまず消費者の間に自発的
に現われ、その圧力によって生産機構の方向が変えられるとい
うふうに行われるのではなく…(略)…、むしろ新しい欲望が
生産の側から教え込まれ、したがってイニシアティブは生産の
側にあるというふうにおこなわれるのが常である」(シュンペ
ーター)

○日常的に高頻度で消費する食品や雑貨、様々なサービスを、
消費者の近隣に高密度で配置したコンビニチェーン、この業態
を消費者は自ら望んだでしょうか?これらを利用してその恩恵
を知り、結果としてなくてはならないそれになったはずです。

○スマートフォンを手元に置いているはずです。この様な機能
を備えたIT端末を消費者は自ら望んだでしょうか?こんなこ
とができるから、便利で楽しいから、…ぜひ使ってください、
といわれて使い始めたら手放せなくなったはずです。

マーケットインではなく、プロダクトアウトする力、この創造
力こそ起業力(企業力)です。

 

ある関与先様の事例ですが、銀行に融資を申し込んだところ、
売上が急激に伸びていることを懸念され、融資を断られそうに
なりました。通常、売上が伸びることは良いことですので意外
に思われるかもしれませんが、金融機関は急成長企業を敬遠す
ることもしばしばあります。

「急成長企業が突然倒産した。」といったニュースを耳にされ
たことがあるかもしれませんが、急激な売上の増加は、場合に
よっては倒産確率も高めます。倒産確率が高まる要因は、急な
成長に、「人がついていけない。」「商品サービスのクオリテ
ィが維持できない。」など様々ありますが、結果として資金が
底をついてしまうことが直接的な要因です。

■ 急成長企業が陥りやすいパターン
1.売上を伸ばすためには、設備投資、仕入の増加、人材雇用
等が必須です。すべてにおいて資金が必要ですので、急成
長を目論む企業は、銀行から最大限の資金調達を行って、
他の企業よりも多くの資金を事業に投資します。
2.投資に比例して売上や利益が伸びると、銀行がさらに融資
をしてきます。その融資金を事業に投資して、さらに売上
と利益を伸ばします。売上や利益が伸びると、銀行がさら
に融資をしてきます・・・繰り返します。
3.やがて投資をしても売上や利益に反映されない踊り場が訪
れます。しかし、銀行から融資を止められないようにする
ため、踊り場でも無理をします。無理な経営が何らかのト
ラブルを招き、利益が大きく損なわれます。
4.赤字に転落することで銀行からの融資が止まり、たちまち
資金が回らなくなってしまいます。

弊所は、「資金は借りられる時に借りられるだけ借りましょう。」
というメッセージを平素から発信していますが、その目的は、
いざという時のために手元資金にゆとりを持ちましょうという
ことであり、限界まで事業に投資をすることを勧めている訳で
はありません。手元資金をしっかりと確保して倒産リスクを回
避しながら、自社に合った無理のないスピードで成長を目指す
ことを指針としています。

早く会社を大きくしたいという思いは経営者として当然のこと
と思いますが、踊り場に来たと感じたら、一休みしてはいかが
でしょうか。一旦売上の成長を止めることで、増加運転資金が
不要になるため、キャッシュフローが改善されます。踊り場で
少し体力をつけてから再度成長を目指すのが、無理のない財務
戦略だと考えます。

冒頭の関与先様ですが、創業から現在までの4年間の資金繰り
実績表を銀行に提示し、やみくもに成長を目指してきた訳では
なく、安全性を確保できる範囲で資金を事業に投資してきたこ
とを理解してもらいました。結果、無事に満額の融資を受ける
ことができています。