建設業を営むA社長からの相談です。「融資を申し込んだとこ
ろ、工事台帳の提出を求められた。作成したことがないので手
伝って欲しい。」という内容でした。

金融機関から見て建設業の決算書は実態を把握しづらい要素が
いくつかあります。建設業独特の勘定科目である完成工事未収
入金や未成工事支出金です。

建設業は1工事あたりの金額が大きく、毎月の売上も変動する
ため、完成工事未収入金や未成工事支出金も大きく変動します。
中には、その特性を利用して粉飾決算をしている企業もあるた
め、金融機関は融資に慎重になります。

金融機関の不安を払拭するのに有効な資料が工事台帳です。金
融機関が工事台帳から読み取りたい内容はいくつかあります。
例えば、工事ごとの利益状況です。各工事の利益率と決算書の
利益率が大きく乖離していないことを示せば、決算書は正しい
と納得してもらえます。また、工事のスケジュールも重要です。
将来に渡って、工事がどのように進行し、どのタイミングで売
上が立つかを示せば、今後の業績が順調に推移することを理解
してもらえます。

今回のご依頼は工事台帳の作成でしたが、資金繰り表もあわせ
て提出するとより効果が高くなります。工事台帳はあくまでも
工事に関する情報がメインであるため、工事以外のお金の流れ
は分かりません。建設業は決算書の損益とキャッシュの動きに
乖離がありますので、販売管理費や借入の返済を含めた全体の
お金の流れを示すのが親切です。

■ 建設業の融資申し込みのポイントをまとめます。

・建設業は決算書の提出だけでは不十分です。
・工事台帳で工事ごとの利益率を示し、決算書の正確性を補足
しましょう。
・工事スケジュールを示し、現在の受注残と今後の売上見込み
を説明しましょう。
・資金繰り表を作成し全体のお金の流れを説明しましょう。

A社は運転資金の調達が目的でしたが、設備資金の場合、さら
に事業計画書が必要になります。融資申込資料は単に作成すれ
ばよいということではありません。金融機関の意図をくみ取っ
た資料を作成しないと融資を受けられる確率が下がってしまい
ます。

融資申込資料の作成に悩まれたら是非ご相談ください。

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