前回号のつづきです。

■何十年間も同じことを繰り返している会社は少なくありませ
ん。

創業以来、先代以来…ずっと同じことを行っています。事業を
創る、事業立地を見直す、イノベーションを企てる、これらの
発想すらありません。それでも、社長は、従業員も皆まじめに?
働いています。この会社は、静かに衰退をたどりながら、時に
急激にその使命を終えることになります。

「今年生まれた子供たちが、二十年後に就職する会社の半分は、
今存在しない会社だ」と言われています。二十年で会社の半分
は入れ替わるとの仮説です。多分そうなるのでしょう。AIに
取って代わられる業種、話題を呼んでいますが、自社がその中
に入っているのかの心配には及びません。すべての会社が時代
に取って代わられるからです。

変化しなければ会社は存在意義を無くします。時代毎のニーズ
に対応することが生き残るための条件です。経営は、連続的な
小さな変化を続けて行かなければなりません。この小さな変化
は、時間を経て大きな変化を遂げます。激変したように見える
会社も、小さな変化の積み重ねです。

■「事業計画を策定する」このテーマについて言及しています。

事業計画は、変化のための種です。何をどう変えて、○○まで
にどのように変化させるか!この仮説こそが事業計画です。過
去の流れを踏襲するだけの数値計画を作って満足してはいけま
せん。

■事業計画作成時の重要度
※事業計画作成時には、以下の要素が含まれているか確認して
ください。

○事業立地の見直し・イノベーションの付加ができているか?
…重要度S
○収益モデルの創造・見直しができているか?…重要度S
○現状の認識は十分か?…重要度A
○(仮)のゴール〔マイルストーン〕の設定はできているか?
…重要度S
○全体を包括する整合性の取れた数値計画ができているか?
…重要度A
○数値計画と資金計画との整合性を確認できているか?
…重要度B
○マネージメント体制は成長についていけそうか?又は、妥当か?
…重要度B
○日々修正しながら現実的に対応できているか?…重要度S

■経営者の仕事は、事業立地とビジネスモデルの検証・構築、
すなわち事業計画の立案・見直し以外にありません。

経営者の仕事は何?あれもこれも…たくさんありますが、重要
度で下位から消去して最後に残るのは、「事業立地とビジネス
モデルの検証・構築、すなわち事業計画の立案・見直し」です。
であるにも関わらず、大半の経営者はこれらの仕事をぞんざい
にしています。故に、経営者不在の企業体になり下がっていま
す。創業時に考えたビジネスモデルや、親から受け継いだビジ
ネスモデルを進化・発展させることなくただただ継続していま
す。事業計画と称して、過去の事業の時間軸を先に延ばして置
き換えるだけの数値計画を作って自己満足しています。体裁の
良い数値計画は事業計画ではありません。肝に銘じてください。

■経営者には3つの胆力が必要です。

経営にウルトラCは滅多にありません。一つ一つ理詰めで考え
抜く、一つ一つ確実に行動に移す、都度調整しながら継続して
積み上げていく…この行為を粛々と続けていくことこそ王道で
す。

◎理詰めで考える知力と、これを継続する知的胆力
◎確実に行動し続ける行動力と、これを継続する肉体的胆力
◎中々上手く行かないことに耐える耐力、これを継続する精神
的胆力

経営者には3つの胆力が必要です。

■事業計画とは、江戸時代に中国の奥地の○○を目指す長い旅
の旅程表のようなものです。

存在自体が不確実なゴールに向かって、一歩ずつ歩みを続けて
行かねばなりません。(江戸時代に)日本から中国の奥地を目
指すなら、まずは大陸に渡る手立てを考えます。渡れる航路を
求めて港に向かいます。そのためには、港に向かうための旅費
が必要になります。大陸に渡っても、続く道の存在は不確実で
す。それでも渡ります。ゴールまでの旅費の算段が読めなくて
も、それでも一歩ずつ前に進みます。これらの過程では、様々
なトラブルにも見舞われることでしょう。トラブルをできるだ
け避けながら、遭遇したら解決しながら、不確実なゴールに向
かって歩み続けます。この旅路にゴールは存在しません。

経営とは、ゴールではなく、そのプロセスそのものであるよう
に思います。知的胆力と肉体的胆力、そして精神的胆力を鍛え
ながら、経営という長旅に共に挑んでいきましょう。楽しみな
がら。

本年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

人員を雇用する、広告を出す、値引き販売をする等の投資判断
を行う際、最も気になるのは採算が取れるかどうかです。最終
的には、やってみなければ分からないと言うのが本質かも知れ
ませんが、まずは机上で採算が取れるか否かを検証する必要が
あります。

投資を行う際に知っておくべき点は「採算ラインとなる売上高」
です。専門的には損益分岐点売上高と言います。損益分岐点売
上高を求める算式は、固定費÷変動費率です。変動費率を求め
るのは少し手間がかかりますので、変動費率の代わりに粗利率
を代用することで大まかな採算ラインが分かります。「損益分
岐点売上高=固定費÷粗利益率」は、様々な場面で多用出来る
式ですので是非覚えてください。

■ 営業人員を雇用する際の採算ラインの算出
粗利益率が30%の商品を販売する営業マンを雇用する際、こ
の新人営業マンに期待すべき販売目標は下記で求められます。

※損益分岐点売上高150万円
=固定費(営業マンの平均月収30万円+福利厚生費5万円+
営業経費10万円)÷粗利益率30%

この新人営業マンが月平均150万円の販売を達成できなけれ
ば赤字社員となってしまいます。もちろん、会社の利益も必要
ですので、最低販売目標150万円+期待する利益額が、営業
マン採用時の目線となります。

■ 広告費の採算ラインの算出
粗利益率が30%の商品の広告出稿を検討する際、どれぐらい
販売出来れば採算が合うのかを知りたいときにも使えます。

※損益分岐点売上高333万円
=固定費(広告費100万円)÷粗利益率30%

100万円の広告費に対して、333万円の販売額が採算ライ
ンとなります。

■ 5%値引きセールの採算ラインの算出
粗利益率30%の商品を5%値引きで販売した際の採算ライン
は以下となります。(固定費が50万円の場合)

※5%値引きによる粗利益率の低下30%→26.3%

※元々の損益分岐点売上高166万円
=固定費50万円÷粗利益率30%

※値引き後の損益分岐点売上高190万円
=固定費50万円÷26.3%

通常販売時より、売上高が24万円(190万円-166万円)
増加した時点から、ようやく値引き販売の効果が得られること
が分かります。

無謀な値引き販売や過大投資を行っている企業様をお見受けし
ます。損益分岐点売上高が実現可能なラインかどうかを把握し
てから投資判断を行ってください。

◆1:新しい事業計画を立案する時には、今の事業立地に関す
る検証に時間を割いてください。

事業計画作成の要諦は、事業立地の見直しです。斜陽分野では
なく成長分野への事業立地の変更を検討してください。

○以下、高収益企業研究の第一人者でおられる三品和広教授の
言葉を引用します。

『…事業の根底には立地(誰に何を売るか)があり、その上に
構え(出荷するモノをいかに入手して顧客に届けるか)、製品
(いかに個別製品を魅力的に仕立てるか)、管理(いかに品質
・原価・納期を守るか)が重層構造を成している。…中期経営
計画などで立地や構えに手をつけることなく、製品の刷新や管
理の強化を打ち出している企業は数多くあるが、この次元で動
きだしたところで、高収益への転換に結び付いた事例はほとん
どない。…』 〔三品和広教授(高収益企業研究の第一人者)〕

◎事業計画を作成することは、事業立地を検証し見直すことで
す。過去の流れをそのまま踏襲することを事業計画と呼び、そ
れを繰り返していると事業の革新は生まれません。何十年も同
じ事業立地にとどまって、ジリ貧に陥るのはこのケースです。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。

◆2:事業計画は、過去からの流れをそのまま維持する保守的
な計画でない限り、その予測は難解であって、その多くは計画
通りに進捗しません。

多くのクリエイティブな計画の成功事例は、後に理論武装され
て解説を加えられています。後付けです。保守的な計画でない
限り、事業の正確な予測はできない前提で、事業を執行してく
ださい。クリエイティブな計画を鵜呑みにすることは大変危険
です。

『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図し
たものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習
する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』
※マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院にて1965年に
経営学修士及び1968年に博士を取得された異色の経営学者と呼
ばれるヘンリー・ミンツバーク博士の言葉を引用しました。

◆3:事業計画作成時の注意点!

・事業計画は、そのアイデアが斬新で素晴らしいほど予測が難
しい!
・事業計画は、起点の認識と終点のイメージ化が重要。プロセ
スは都度計りながら進める!
・作成した事業計画を鵜呑みにしてはいけない。脱・前のめり!

◆4:事業計画作成の要諦!

・事業立地の確認・選定…どんな事業を!
・収益モデルの創造(ビジネスの型の確定)…どのような形で!
・起点(現状)を認識する!…力相応を知る!
・(仮)のゴールのイメージ化…目指すゴールは!
・起点からゴールまでの道筋を仮決めする!

上記を踏まえた上で、
・全体を包括する整合性の取れた数値計画の立案!
・数値計画と資金計画との整合性の確認!
・マネージメント体制の整備!
・日々修正しながら現実的に対応する!

◆5:事業計画執行時の注意事項(追記)!

・コントロールできることを完全にコントロールすること。
・頑張ればコントロールできることをできるだけコントロール
すること。
・コントロールできないことには、出来るだけ適合すること。

・コントロールできることをコントロールしない、これは放漫
経営です。
・頑張ればコントロールできることをコントロールしない、こ
れは怠慢経営です。
・そして、コントロールできないことまでコントロールしよう
とする、これは独りよがり経営です。

自社の明るい未来のために、真の事業計画を作成しましょう。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。これは事業計画ではなく、進捗管理計画です。

弊所に相談に来られる会社様の中には、資金調達が可能な財務
内容であるにも関わらず、融資を断られているケースがしばし
ば見られます。

断られた本当の理由は分かりませんが、金融機関との折衝が上
手くいかない事例をまとめましたので、お心当たりがないかご
確認ください。

■ 口頭による説明だけで終わらせている。
最低限の資料しか提出せず、補足説明などを口頭で終わらせて
いる社長様を多くお見受けします。銀行の担当者がよほど優秀
でない限り、説明の全てが決裁者に届くことはありません。

■ 説明が分かりにくい。
業界や取引先等を、相手が知っているという前提で話をする社
長様は少なくありません。銀行の担当者はいちいち聞き返しま
せんが、実は内容を殆ど理解出来ていない可能性があります。

■ 話が大きすぎる。
あなたの会社のことを聞いているのに、大手企業や政治の話を
持ち出して話をする社長様は多いです。雑談の域を出ない話で
は、担当者は稟議書に書くことがなくて困ってしまいます。

■ 会計を理解していない。
会計上の数字を理解せず、「良く売れた」「儲かった」など、
感覚的、部分的な話をする社長様がいらっしゃいます。銀行員
は、実際の数字と食い違う説明をされると大きなストレスにな
りますので、会計上の数字に沿った説明が必要です。

■ 融資の常識を理解していない。
誰もが、返せる見込みがない人にお金は貸しません。借りる側
が、返済できる見込みを具体的に示すのは当然のことですが、
借りたお金をどうやって返すかという説明が抜けていることが
多々あります。

■ 話してもよい事の線引きが出来ていない。
銀行員に対して迂闊なことを言ってはいけないと考えすぎて、
説明をぼかしたり、はぐらかしたりする社長様がいらっしゃい
ます。聞くと話をしても特に問題ないことが殆どですが、その
ような態度は変に怪しまれてしまいます。

■ 話してはいけない事の線引きが出来ていない。
例えば、会社の売却を考えているなど、具体的な話がある訳で
もないのに、軽く雑談のつもりで話す社長様がいらっしゃいま
す。金融機関がネガティブに捉える事柄を知り、軽々に発しな
いようにしましょう。

本来受けられるはずの融資が断られる理由は、些細な説明ミス
や資料不足です。銀行の常識や考え方をよく理解し、間違った
対応をしないよう心がけましょう。

過去の失敗を経て、再起を図ろうとする社長様からの相談を時
折受けます。また、再起の末、成功を収められた社長様も少な
くありません。逆に、失敗を繰り返す社長様もおられます。

■成功するか?失敗を繰り返すか?の差は、過去を総括できて
いるかどうかで決まります。

○「前回失敗した理由が自分以外にある」とおっしゃる社長様
は、失敗を繰り返します。運が悪かった、だまされた、景気が
…このような言い訳を繰り返す人は、ほぼ間違えなくこれから
も失敗します。

・運が悪かったは、「判断を間違えた」であり、「判断を間違
えるのは自分自身の判断基準が悪かった」からです。結局、自
身の能力不足です。
・だまされた、景気が…これも同じです。

運が悪かった、だまされた、景気が…すべての事象を自身の問
題として認識できない間は、何度でも同じ過ちを繰り返します。

○再起した会社が経営危機に陥る理由は、前回失敗した理由と
同じです。

売上至上主義、無管理経営で、ただやみくもに売上の拡大に奔
走する社長が経営危機対策の相談に来所されました。直近期大
幅な増収でありながら、営業赤字に転落しています。増収であ
りながら、利益率の大幅な低下、固定費の増大になっています。
そして、「売上をいくら伸ばしたら黒字になりますか?」とお
っしゃいます。

前回の失敗の理由をお聴きすると、「リーマンショックによる
景気の後退と、銀行の貸し渋り」と総括されます。

○この社長は、「安売り症候群」と呼ばれる病に侵されていま
す。利益率より売上高、経営管理より、我武者羅に売り歩く…
このような病です。前回の失敗も同じでした。今回も、同じ病
が原因で経営危機に直面しています。

■失敗の原因を確実に総括しておかないと、過ちを繰り返しま
す。原因を退治してください。

○(当事務所)「今回の経営危機の原因は、売上至上主義と無管
理経営に端を発した収益の悪化です。この結果を招いたのは、
100%社長様、あなたの責任です。社長様は、『安売り症候群』
という社長の病を患っています。前回の失敗の原因も、(事情
をお聴きすると)今回の原因と同じです。リーマンショックや
銀行の貸し渋り等ではありません。この病を治療して直さない
と、再度破たんします。」と助言しました。

◎(相談者様)「よくわかりました。どうすればよいですか?」

○(当事務所)「まず、売上高・粗利益率・固定費の三つをバラ
ンスよく構成する月次の経営計画を作ります。売上至上主義を
脱して、バランスの良い経営を目指します。その上で、進捗を
月次で管理します。当事務所(病院)がお手伝いいたします。
『安売り症候群』、利益率より売上高、経営管理より、我武者
羅に売り歩く…この病の完治を目指しましょう。」

■失敗を経験することは、本来無駄ではありません。学んだ分
強くなることができるからです。

○賢明な社長様は、前回の失敗の原因をしっかりと自覚して、
総括をしっかり済まされておられます。同じ轍を二度は踏まな
い、この決意で臨まれます。

○一方、前回の失敗の責任を、自分以外の外部要因に転嫁され
ておられる社長様は、失敗の総括ができていないために、同じ
過ちを繰り返しがちです。

他人の責任で自分が失敗することなど100%あり得ません。失
敗したら、必ず総括して、次に生かしてください。(小さな失
敗でも)これを繰り返すことで、社長力が磨かれていくはずです。

このような相談も承ります。まずは、ご相談ください。

コロナ融資を受けたある関与先様から、「金融機関から試算表
の提出を求められたが、融資金の一部を個人的な支出に充てて
しまっているため提出したくない。断ることはできないか?」
というご質問がありました。

試算表の提出を拒んだからと言って融資金の一括返済を迫られ
ることはもちろんありませんが、金融機関の担当者はネガティ
ブに捉えることは間違いありません。

まずは、試算表の提出を依頼してきた金融機関の担当者に、試
算表が必要な理由を率直に聞いてみました。回答は「保証協会
に売上高の報告をするため」とのことでした。

よって、「試算表がまだ出来ていないため、売上高だけ集計し
て提出すればよいか」と確認するとそれでよいとのことです。
何かを調べたいのではなく、報告が必要なので単純に仕事とし
て依頼しているという感じでした。

仮に試算表の提出が必須という回答だった場合はどうするべき
でしょうか。原則的には、ありのままを提出し、個人的な支出
に流用しなくてはならない理由があったならそれを説明し、理
由がなければ真摯に反省の弁を述べ、決算までには個人的な支
出分を会社に戻す努力をすることをお約束するのが正解だと思
います。

試算表の提出(業績の報告)は金融機関との最良なコミュニケ
ーションの機会です。金融機関に対して負い目がある時は、試
算表の提出を依頼してきた担当者に対して、「そんなことに対
応している暇はない。」などと攻撃したり、不機嫌な態度をと
ったりする経営者もおられます。不安や保身から取ってしまう
行動だと思いますが何のプラスにもなりません。

金融機関に対しては悪いことは隠さなくてはならないとお考え
の経営者様も少なからずいらっしゃいますが、必ずしもそうで
はありません。良いことだけでなく、悪いことも報告して相談
することが関係構築の第一歩になります。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

■会社のさらなる成長を望むなら、モデルとする企業を持ちま
しょう。モデル企業とは、自社がなりたい姿に近い会社です。
モデル企業を見つけて※ベンチマークしてください。

※ベンチマーク (英: benchmark) は、本来は測量において利用
する水準点を示す語。転じて金融、資産運用などや株式投資に
おける指標銘柄など、比較のために用いる指標を意味する。ま
た、広く社会の物事のシステムのあり方や規範としての水準や
基準などを意味する。 (ウィキペディアより引用)

真似られるところは謙虚に真似てください。

○出来る限りの情報を集めてください。
・信用情報を取り寄せて、モデル企業の収益構造を理解してく
ださい。
・上場企業なら事業内容が詳しく適時開示されています。
・コンシューマー向けの企業なら、顧客になって使ってみてく
ださい。
・できれば成長のプロセスを時系列に調べてください。
等々、
事業立地やビジネスモデル、その成長のプロセスを理解するこ
とが重要です。

○良いところを探して真似てください。
・事業立地を研究してください。
・ビジネスモデルを研究してください。
・成長のプロセスを研究してください。
・長所と弱点を自分なりに理解してください。
・良いところを取り入れてください。

モデル企業をベンチマークする方法は、ごく一般的に行われる
手法です。コンサル会社がクライアント企業の経営戦略を練る
ときにも活用します。まず良いところは真似る、それにオリジ
ナリティーを付加することでオンリーワンを目指せます。

■自分自身のさらなる成長を望むなら、師を持ちましょう。行
き詰ったときに助言をもらえる師を持ってください。この時、
答えを求めてはいけません。自分にとっての正解は、誰も教え
てくれません。考え方を確認してください。ヒントをもらって
ください。

自分や自社に対する回答は世の中に存在しません。自分自身の
頭の中にしかないのです。繰り返しますが、求めていいのは考
え方やヒントです。また、師とのお付き合いはつかず離れず良
い距離感を保ってください。

■自分自身の活性化を望むのなら、友を持ちましょう。同じ志
を持つ、同じレベルの友は、時に大きなモチベーションを与え
てくれます。

依存しあう関係ではなく、一定の距離を持った関係であるべき
です。どちらかが相手に依存した瞬間にこの関係は終焉します。
あくまでも対等に、GIVE&TAKEの関係が必要です。

順風満帆に経営を続けられる企業は稀有です。皆無と言っても
間違いではありません。「山あり谷ありまさかあり」が普通で
す。モデルとする企業の研究は、将来の「山・谷・まさか」を
ある程度予測する題材になります。

考え方やヒントをもらえる師は、迷った時の羅針盤になってく
れるでしょう。

同じ志を持つ友は、まさにモチベーションの源泉になってくれ
るでしょう。

●自社のモデルとなる企業
●考え方やヒントをもらえる師
●同じ志を持つ友

意識して持ってください。探してください。

利益率、流動比率、自己資本比率など、財務指標には多くの種
類があります。中小企業は財務指標をどの程度意識して経営す
べきでしょうか。

自己資本比率で考えてみます。自己資本比率とは、総資産に占
める自己資本(主に資本金と利益剰余金)の割合です。財務の
教科書には、自己資本比率は高い方が良いと書かれています。

例えば、一切借入を行わず、全ての支払いを先払いし、黒字を
確保できれば、自己資本比率100%を維持できます。しかし、
事業に使える資金は少なく、キャッシュフローも悪いので、大
きなビジネスは育ちにくくなります。

一方、資本金10百万円の企業が30百万円の借入れを行った場合、
自己資本比率はたちまち25%に低下してしまいますが、40百万
円という大きな資金を事業に使うことができます。

優秀な経営者であれば、自己資本の範囲内で小さく事業を行う
より、他人資本を活用して事業を行った方が、より大きな売上
や利益を生み出すことができます。

自己資本比率は、利益が蓄積されれば結果的に良くなります。
最初から自己資本比率を高く維持しようと考えて経営を行うの
は本末転倒かもしれません。

他にも財務指標はたくさんありますが本質的には同じです。自
社の過去や業界平均等と比較して、財務状況を客観的に把握す
るには大変有効な指標ですが、指標そのものが経営の目的には
なりません。

財務指標を過度に意識するあまり、売上と利益の拡大を目指す
という経営の本質を見失わないようにしてください。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

雑駁とは『雑然として統一がないこと。また、そのさま 。』を
意味します。この雑駁さで会社をダメにしてしまう社長は少な
くありません。

■自己診断をお願いします。

[  ]・自分が書く文章に誤字・脱字はほとんどない。
[  ]・自分の発する言葉に誤り・失言はほとんどない。
[  ]・自分は決めたことを継続して実行できる。
[  ]・自分は時間・納期に正確だ。
[  ]・自分は出来る限り論理的に考え行動している。
[  ]・自分は出来るだけ体系的・網羅的な思考を意識している。
[  ]・自分の考えには一貫性がある。

事業を構築するのは、『数百万点以上の部品からなる精巧なプ
ラモデルを組み立てるようなものだ。』と思っています。『精
密に設計し、正確に組み立てる』ことが必要条件です。
(十分条件は別にあります。)
最大の敵は、『雑駁な』思考や行動です。

■『脱・雑駁』のためには、正確に行動することが重要です。

・自身のアウトプットには、その正確さを求める。
・自身が発する言葉には、その正確さを求める。
・約束は確実に履行する。
・時間は確実に守る。3分遅れではなく、5分前で行動する。
・納期は厳守する。ギリギリではなく、数日早めに納める。

人間は過ちを犯します。時に間違えたり、時に遅刻したり。
ゆえに、自身を厳しく統制しておかないと、ダラダラの人生に
なってしまいます。『雑駁』な人は、このダラダラを許容して
しまうのでしょう。ほんの少しの許容が、徐々にその限度を増
していきます。

・間違いだらけのアウトプット。
・裏付けや哲学の無い発言。
・細かい約束を反故にしても気にならない厚かましさ。
・3分遅れを許容する時間管理。
・納期ギリギリの業務管理。

行動の雑駁さは三流の証です。行動の正確さ・緻密さを維持継
続しましょう。

■『脱・雑駁』のためには、考え方の正確さが重要です。

・考え方に一貫性を持たせる。
・考え方から論理矛盾を排除する。
・考え方に沿った行動を心掛ける。

一貫した考え方に沿った企業運営を行わなければ、その企業は
体を成しません。ダッチロールします。

・良い商品やサービスは、一貫した考え方から創造されます。
・良い顧客は、企業の考え方に賛同してお付合いしてくれます。
・従業員も同じです。

考え方の雑駁さは三流の証です。一貫した考え方を貫きましょ
う。
あわせて、考え方に沿った行動を心掛けてください。

■『雑駁』は企業経営の最大の敵です。

『数百万点以上の部品からなる精巧なプラモデルを組み立てる
(比喩)』事業構築のプロセスにおいて、『雑駁』は最大の敵
です。このウイルスは、シロアリのように企業の屋台骨を蝕み
ます。

・社長は、自分自身の『雑駁さ』を徹底的に排除する努力を続
けましょう。
この前提で、
・社内にはびこる『雑駁さ』に対しても、厳しく対処しましょ
う。
『雑駁さ』を互いが責め合う文化を構築しましょう。

一流は、間違えなく『雑駁』ではありません。
お互い一流を目指しましょう。

コロナ融資を最大限受けた結果、借入額が上限に達し、新たな
融資を受けられない企業様が増えています。

そのような状況の中、伴走支援型特別保証制度を活用した借り
換えにより、キャッシュフローを改善した事例をご紹介します。

伴走支援型特別保証制度とは、2021年4月に保証限度額4,000
万円でスタートし、その後段階的に保証限度額が引き上げられ、
現在は1億円の保証限度額となっています。

また、4号、5号認定を受けられた場合、信用保証料が0.2%
まで大幅に引き下げられる他、資金使途は、既往の保証付融資
の全てが借り換えの対象です。

■ N社の事例

1)2020年3月、下記条件によりコロナ融資を受けました。

・借入金額 80,000千円
・借入期間 7年
・毎月返済額 953千円
2)2022年10月、伴走支援型特別保証制度により下記条件に
て上記借入の借換を実行しました。

・借入金額 60,000千円(既往借入残債50,000千円返済)
・借入期間 10年
・据置期間 3年
他行でもコロナ融資の利用があったため、10,000千円程度の
純増に留まりましたが、据置期間を設定することにより、向こ
う3年で、34,308千円(毎月返済額953千円×36か月)のキャ
ッシュフローを改善することができました。また、保証料率が
下がったことにより、保証料も1,000千円程度返還されていま
す。

新たな融資は受けられなくても、既存借入の組みなおしにより
キャッシュフローを捻出できる場合があります。
是非、ご相談ください。