-
大切な人がお亡くなりになると、悲しみが尽きることはありませんが、葬儀とが終わり、少し気持ちが落ち着いたら、残された相続人がやらなければならない手続きを進めましょう。
手続きには相続税申告など法令で期限の定めのあるものと、預貯金の名義書留など期限の定めは特にないものとがあります。
期限の定めが特にない手続きでも、「先延ばししている間に相続人の気持ちが変わって結局争いになった」などということがないよう、手続きができるときに速やかに完了することをお勧めします。
相続が発生すると、ご相続人にとっては、通常次のような手続きが必要となります。
-
- ●戸籍謄本・住民票の収集
-
- ●相続財産の調査・収集
- ●不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
・固定資産評価証明書等の請求 - ●預貯金等の残高証明等発行依頼
- ●相続財産の目録づくり
- ●債務や葬式費用の確認
-
- ●相続人全員による遺産の分割協議
- ●遺産分割協議書の作成
- ●遺産分割協議書に基づく遺産分割
-
- ●不動産(土地・建物等)の名義書換え
- ●農地等の農業委員会への届出
- ●有価証券・信託等の名義換え
- ●預貯金・貸金庫等の名義換え
- ●ゴルフ会員権・電話加入権・自動車等の名義書換え
-
- ●住宅ローンの返済と抵当権の抹消手続き
- ●その他借入金の返済等
-
- ●所得税の申告と納付
- ●相続税の申告と納付
-
- ●保険金・年金等の請求・切替手続き
- ●生命保険金・損害保険金・自賠責保険金・労災保険金等の請求
- ●遺族年金・母子年金の請求
- ●国民年金・国民健康保険の切替
-
相続人が被相続人の財産および債務について一切の財産を受け入れないことを「相続放棄」といい、被相続人の財産である債務が正の財産よりも多い場合に「相続放棄」することによって負担を免れることができます。
この意思表示は相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述することが必要になります。
- 不動産所得や事業所得などの所得税の確定申告が必要な人は通常、翌年3月15日までに前年分の所得の確定申告を行いますが、個人が死亡した場合には、その年の1月1日から死亡の日までの期間の所得を相続開始を知った日の翌日から4ヵ月以内に所得税の準確定申告をしなければなりません。
-
被相続人の遺産に対して相続税がかかる場合には、相続開始を知った日から10ヵ月以内に相続人全員が相続税の申告・納税をしなければなりません。相続税は相続人1人1人が実際に所得した財産に対して相続税が算出されるため、申告期限(10ヵ月)までに遺産分割協議が相続人間で整っていることが前提になります。
相続税を現金納付する場合には10ヵ月以内に納税しなければなりませんが、金銭で納付することで困難な場合には、延納や物納という納付方法もありますが、申告期限(10ヵ月)までに申請書を提出し許可を受けなければなりません。
- 民法では、兄弟姉妹を除く相続人には、遺留分という最低限の相続分が保障されています。万一、遺留分未満の財産しかもらえなかったときには、遺留分を侵した相手に対して1年以内に「遺留分の減殺(げんさい)請求」を行うことで、これを取り戻すことができます。
-
- ●通常の場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・遺留分は被相続人の財産の1/2
- ●相続人が直系尊属のみの場合・・・・・・・・・遺留分は被相続人の財産の1/3
なお、兄弟姉妹には遺留分はありませんのでご注意下さい。
-
相続税の軽減特例である「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地の評価減」などの特例適用を受けるには、遺産分割協議が整っていることが適用要件となっています。したがって相続開始後10ヵ月以内(申告期限)に遺産分割協議ができていない場合には、適用ができない申告となります。その後、3年以内に協議が整えば、その時に特例を適用する申告内容に訂正することができます。
相続財産を譲渡して、譲渡所得が課税される場合の所得税の特例(譲渡所得の取得費加算の特例)は、相続税の申告期限から3年以内に譲渡が行われたときだけに限られています。