経営者が患う病の一つに『お人好し症候群』があります。過半の経営者が、程度の差はあれ発症しています。検証してみましょう。

■お人好しで会社をダメにしてしまう社長は少なくありません。

自己診断をお願いします。
・自分はお人好しだと思う。〔  〕
・自分は従業員に甘いと思う。〔  〕
・自分の判断は、どちらかというと甘いと思う。〔  〕
・自分の判断は、どちらかというと曖昧だと思う。〔  〕
・自分はNOと言いにくい性格だ。〔  〕
これらにはすべて迷わず〔 × 〕が付く経営を意識して行わねばなりません。

■一方、愛の無い経営では人はついてきません。愛は経営者としての重要な資質の一つです。「厳しい経営判断に愛を添える経営(稲盛和夫氏)」が理想なのでしょう。

お人好し経営に陥る原因を探してみましょう。

◆一つ目の原因は『弱さ』です。

○その場しのぎを繰り返す。
大局的な見地を持たずに、目先の事象を「目先迎合、その場しのぎ」でやり過ごそうとする経営者がいます。問題点逃避型、経営者には不適格です。

○皆に好かれたい、嫌われたくない。
出来るだけ敵を作らないように発言し行動することは経営者にとって重要な行動指針です。
無意味な敵は不要ですが、時に敵対しても主義主張を通さねばならない場面もあります。社内に対しても同じです。全員から良い?社長と思われることは不可能です。嫌なことを言えない経営者です。考え直してください。

◆二つ目の原因は『知見不足』です。

○全体最適が理解できていない。
経営判断においては、常に部分最適よりも全体最適を優先しなければなりません。この二つが矛盾する時に、部分最適を容易に選択してしまう経営者がいます。知見が不足しています。

◆三つ目の原因は『考え違い』です。

○曖昧な指示しか出さない。お任せ主義。
皆に考えさせること、これはこれで重要です。一方、細かく・明瞭に指示を出すことも重要です。前者ばかりの経営者は、真の指揮官とは言えません。特に中小企業は、ほとんどが後者であるべきです。ご再考ください。

◆四つ目の原因は『愛の取り違え』です。

○ボランティア精神を経営に持ち込み過ぎる。言うまでもなく会社は社会のためにもあります。
・行う事業が社会の役に立つ。
・従業員の雇用と教育を担う。
・納税して利益を世の中に還元する。
・上記の過程で社長も十分に報われる。
これらを実現・継続するために、提供する商品・サービスや役務の価値と、その価格を図りながら、また、競合相手と戦いながら切磋琢磨しています。利益の追求も当然必須です。

○一方、経営と比べてボランティア活動は、ある意味容易です。
捧げ続ければよいからです。経営にボランティア精神を持ち込んではいけません。全く違う二種類の基準は同居できません。容易なボランティア魂が会社を凌駕します。経営者は、まったく別の場所・環境でボランティアに励むべきです。または、「税引き後利益の○○%をボランティア活動に使う」、このような明確な指針で対応すべきです。
「この商品は、ボランティア的な意味合いで値引きして」これをやると会社自体がダメになります。

◎愛の無い経営者は大成しません。愛は経営者としても、人としても、最も重要な資質の一つです。この前提で、「経営者は心に一匹の鬼を忍ばせる経営」・「厳しい経営判断に愛を添える経営(稲盛和夫氏)」を行いましょう。多くの偉人が語る経営の王道です。

お人好しと愛を区別して判断・行動して下さい。

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