…前回のつづきです。

我々日本人は、生産性の向上と時短・労働力の確保を経営的に解決していかねばなりません。そのためには、生産性の向上を図る、何よりもこれが必要です。

■前回号でご紹介した仮説を検証してみましょう。
「…日本の企業は顧客の声を聞きすぎる。顧客の過度な要望への対応は、企業を疲弊させ、低生産性の元凶になっている。顧客を神さまと勘違いして、過剰な対応を行うということは、一方で、自社の経営と従業員を疲弊させることになる。顧客に提供するサービスの内容と、負担いただく価格のバランスが、国全体として崩れてしまっていることが、日本の生産性を著しく低くしてしまった。…」

◆「顧客はだれか?」顧客の定義・選別が重要です。
顧客をないがしろにしても良いとの意味ではありません。お客様第一、この発想こそビジネスの礎です。問題なのは、顧客の定義が曖昧なことです。全員が顧客だ、との間違えた思い込みです。

〔わかり易いので飲食店の例で…〕
○高級なフレンチレストランではミネラルウォーターも高価です。「水がなぜこんなに高い?」との疑問を呈する人は顧客ではありません。ただし、この高価なミネラルウォーターは、立派なグラスで丁寧に提供されなければなりません。
○一方、大衆店で、おいしい水を立派なグラスで提供してもらおうと考える人も、この大衆店の顧客ではありません。

◆顧客を定義するためには、提供するサービスを明確に定義する必要があります。

〔わかり易いので飲食店の例で…〕
○当社は高級なフレンチレストランを経営するので料金は高い、お水はミネラルウォーターを立派なグラスで(有料で)提供する。ミネラルウォーターが高いという人は当社の顧客ではない。
○当社は大衆店を経営するので価格はリーズナブル、その分顧客の細かい要望にはお応えできない。

上記を明確にしないまま、お客様第一主義を突き詰めると、そのツケはすべて自社に、自社の従業員に跳ね返ってきます。

◆営業時間の問題も、個別対応の問題も同じです。
顧客が望むから(推測も含めて)営業時間を延長する、顧客が要望するから(推測も含めて)個別対応を行う…これらを収益上の検証も行わず、その多くを顧客満足度の向上との安直な発想で取り入れ続けた結果が、生産性の低下を招いています。

◆もはや精神論と根性論だけでは解決できません。
成熟著しい日本の市場においては、すべての事業体が、自社が定義した顧客(のみ)に対して、自社が定義したサービスや商品(のみ)を、生産性の整合性を担保した上で提供していく方針に舵を切らねばならないようです。
1.自社の顧客に対してのみ顧客第一主義を貫く。
2.自社が定義したサービスや商品のみを提供する。
さらに、これらの収益上の整合性を確保することも必要です。

■『時短と生産性の向上』のためには…
1.顧客の選別(絞り込み・単純化)
2.商品・サービスの明確化(絞り込み・単純化)
3.価格の改定(値上げ)
4.営業時間の見直し(短縮)
今の日本は、好むか好まない、できるかできないではなく、これらの選択肢を排除できない、切羽詰まった岐路に立たされているように思います。

繰り返しますが…
「…日本の企業は顧客の声を聞きすぎる。顧客の過度な要望への対応は、企業を疲弊させ、低生産性の元凶になっている。顧客を神さまと勘違いして、過剰な対応を行うということは、一方で、自社の経営と従業員を疲弊させることになる。顧客に提供するサービスの内容と、負担いただく価格のバランスが、国全体として崩れてしまっていることが、日本の生産性を著しく低くしてしまった。…」

この機会にご一考いただければ幸いです。

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