■経営体(そもそも世の中)の諸々はすべて、時間の経過とともに複雑な方向に、増える方向に
動きます。世の中のベクトルは複雑化・増加であって、単純化・減少ではありません。
従って、自然に物が増え、書類が増え、手続きが複雑になり…高コストになります。
品揃えが増え、在庫が増え…総花的になります。弱くなります。人は仕事が増え(自らが増やし)…
多忙になります。故に、強烈に意識しない限り、時間が経過するごとに会社はややこしくなります。
弱くなります。長時間労働や生産性・収益性の低さの主たる原因の一つはこれが原因だと
思っています。
■この様に、複雑化・増加のベクトルに巻き込まれ、対応できていないがゆえに生産性・収益性の
低さを招いている状況の経営体を『分散症候群』と呼びます。
『分散症候群』の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.社内の動きが遅く(悪く)なる。〔 〕
2.オペレーションのミスが多くなる。〔 〕
3.経営コストが割高になる。〔 〕
4.商品、サービスが総花的で特徴がない。〔 〕
5.頑張っているのに儲からない。〔 〕
6.新しい商品、サービスを創造できない。〔 〕
いかがでしょうか?
■『分散症候群』という疾病を整理します。
○商品やサービスの幅を広げ過ぎて、マーケティングが曖昧になる病です。誰に・何を売るかが
ぼやけてしまっています。
○原因
商品の品揃えやサービスの幅を持たないと売れないとの思い込みが原因です。企業は何もない
ところから始まります。このステージでは品揃えの強化や幅が必要です。しかし、一定のレベルを
越えたあたりから、商品の品揃え、サービスの幅、事業領域を絞りながら成長を遂げるべきです。
拡大は面を広げることではなく、面を狭めて深堀することです。このあたりが誤解されています。
だからこの病気が蔓延するのでしょう。
○症状
経営資源が分散され、社内のありとあらゆるものが複雑になるため、動きが悪くなります。
対応が遅くなり、ミスが多発し、全体にコスト高になります。各商品やサービスの磨きこみも
十分でなく、総花的な品揃え、サービスを提供しており、これといった強みもありません。
■『分散症候群』への対応は…止めて・減らして・集中して・尖ることです。
これを『単純化(Simple化)』と定義します。
○対策は…
すべてを単純化(Simple化)することです。
1.減らすことです。絞り込むことです。
2.自社の強み(ツキ)を探して特化することです。
■経営体は大きく4つの疾病を患っていると思っています。その有病率は決して低くありません。
◆病名1:分散症候群 …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:前のめり症候群…有病率30%
◆病名4:お人好し症候群…有病率60%
◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。
【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持すること。
◆第4条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。
…次回号につづきます。