ある関与先様から、「銀行の担当者から役員報酬が少ないと言
われた。社会保険料の負担が大きいのであまり上げたくないが、
どれぐらい上げたら良いか?」とのご相談がありました。現在
の役員報酬額は25万円です。

普通に回答すると、「適正な役員報酬額は粗利益の○%程度で
すが、社会保険料と所得税の負担が○円増えますので・・・」
となりますが、金融機関担当者の意図がすぐに分かりましたの
で「無理して上げる必要はないですよ。」と回答しました。

金融機関担当者はどのような意図で役員報酬が少ないことを指
摘したのでしょうか。社長の生活を心配して、「もっと役員報
酬を取った方が良いのでは」などと言っている訳ではありませ
ん。「役員報酬が少ないですね。」という質問の本質は、「本
当は赤字ではないでしょうか。」ということです。

たとえ決算上の利益が100万円出ていても、本当に必要な生
活費が500万円だとすれば、経費が200万円過小に計上さ
れていますので、実質の利益はマイナス100万円になります。
金融機関の担当者は、少なすぎる役員報酬を見て実質赤字では
ないかと心配しています。

当社の場合、同居している奥様と子息も一緒に働いており、給
与もしっかり出していますので、「役員報酬が300万円でも
世帯収入は十分にあることを説明してください。」とお伝えし
ました。金融機関担当者の懸念はこれだけで解決します。

仮に担当者の言葉を額面どおりに受け取っていたら、適正な役
員報酬額という難題の解決に時間を費やし、意に反して増加す
る社会保険料を受け入れた挙句、役員報酬の増加により利益は
減少という金融機関担当者の真意に反する結果になっていたと
ころです。

財務の知識が不足していると、金融機関担当者の何気ない一言
に振り回されることがあります。金融機関の考え方を本当に理
解している方をブレインとして持ってください。

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