自社の経営をより良くするためには、今のビジネスモデルに新
しいアイデアを付加することが一つの道です。そのためには、
様々な経営の法則を一つでも多く頭に入れてください。
経営者として知っておくべき知見は星の数ほどありますが、ほ
んの一部を紹介します。

■高収益企業の法則
(三品和広氏〔神戸大学大学院・経営学研究科教授〕)

『…(高収益企業の研究を通じて)成功例に共通している点は
一目瞭然だった。「事業立地」がよいということだ。仕事の仕
方の工夫や製品開発ではなく、そもそも「何屋さんをやるか」
の選び方が優れている。事業立地の考え方では、ある市場の中
でどこにポジションするかよりもむしろ、そもそもどの市場を
選ぶかが重要になってくる。…』

優秀な経営者のもとに、優秀な人材と多額の資金を投下しても、
石炭の採掘での事業化は難しいはずです。採掘を行うなら、シ
ェールガスか、メタンハイドレートの方が良いはずです。事業
の成功の可否は、そのマネージメントや狭義のテクニカルなマ
ーケティング力が主因ではないようです。事業領域の設定、す
べてはここから始まります。
事業領域をどう設定するか、これこそが、経営の最大のテーマ
です。経営者は肝に銘じるべきです。
『高収益は事業立地で決まる』、高収益企業研究の第一人者が
おっしゃっておられる言葉です。真摯に受け止めて、自社の企
業経営に生かしましょう。自社の事業立地の検証を始めましょう。

■事業計画の法則
(ヘンリー・ミンツバーグ氏)

『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図し
たものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習
する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』

計画がなければ始められません。進むべき大体の方向、道しる
べが必要です。また、どれぐらいのペースで進めば、主に資金
が足りるのか、一つの基準としても計画は有効です。一方、近
未来を完全に予見できる程の知見を持ち合わせている人は稀有
です。また、日々の経験と成長は、新しい気付きをもたらしま
す。当初計画に固持し過ぎると、新しい気付きを反映できなく
なります。
計画を立案してその執行に邁進することのリスクを肝に銘じる
べきです。計画の必要性を認識しながらも、当初の計画にとら
われ過ぎない経営が必要です。ヘンリー・ミンツバーグ教授の
メッセージを、再度ご確認ください。

■脱・マーケットイン、プロダクトアウトの法則
(SP経営協会)

『「消費者がより必要とするものを、適切な価格で提供する」
マーケットインの発想が正しいとされてきました。もちろんマ
スマーケットに打って出るなら、この発想は大変重要でしょう。
一方、中小零細企業は、限られたコア技術しか有しておらず、
また、大量販売する広告力も持ち合わせないため、コア技術を
活用した、ある種の「プロダクトアウト」の発想で商品開発を
行うしかありません。さらに、低コスト生産ができるはずもな
く、価格競争の土俵にも立てません。であるならば、コア技術
を突出させて、とんでもない味や機能を、原価を無視してでも
提供できる高額商品へのチャレンジが現実的です。』

中小零細企業が必要とする売上はほんの数億円から十億円程度
です。数百億円も、数千億円もの売上をいきなり狙う必要はあ
りません。であるならば、得意な分野(コア技術)で、最高品
質のとんでもない商品を作り、ほんの一部の人に高く買っても
らう商売(=アッパーニッチ戦略)を狙ってみたらいかがでし
ょうか。
販売価格(原価)の呪縛を外した時に、とんでもない商品が出
来上がるかもしれません。

■(雨傘ではなく)日傘理論
(銀行融資プランナー協会)

『金融機関が貸し出す傘はすべて「日傘」(○)です。「雨傘」
(×)ではありません。貸し出す資金が預金者から預かった預金
だからです。損失を出すわけにはいきません。故に金融機関は、
企業に対して健全かつ前向きな資金しか貸し出せません。』
※雨傘は、一部の制度融資・制度保証のみです。

「借りられる時に借りられるだけ借りておく」ことこそ最善の
策です。健全な時に、近未来に遭遇するかもしれない「谷」や
「まさか」に備えて資金調達を継続して行い続けること、これ
以外に方法が見当たりません。これこそが、金融機関対応の大
原則と確信します。

中小零細企業経営者が忘れておられる経営原則を4つ紹介しま
した。行間の真理も含めてご理解いただければ幸いです。

…次回につづく

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